個人事業主も、税務調査で指摘を受けることがある
「自己流でだましだまし申告をしていたツケが回ってきたのでしょう。税務調査でチェックされ、追徴金を取られまして・・・」
現在のクライアントのBさんが、私の元に初めていらした際に明かしてくれたことです。
味の良さと、リーズナブルな価格、好印象な接客が人気のケーキ店を営むBさん。忙しくなると、お金の出入りが多くなる一方で、その管理や処理が後回しになりがちなのも多忙な個人事業主ならでは。Bさんに限らず、誰にでもつきまとうリスクでしょう。
ちなみに、「個人事業主なら、税務調査は入らない」と勘違いしている方もいらっしゃいますが、そんなことはありません。
当時のBさんは個人事業主。とくに現金商売だと、突如、連絡もなく、調査の対象とされることもあります。
また、Bさんの場合は、単なるミスだったため、追加で払った税金はさほど多くなかったとはいえ、もしや「これぞ自営業の特権!」とばかりに、経費をどんどん水増ししていたとしたら・・・。
あまりに度が過ぎたことをやっていると、調査官は個人事業主とて容赦しません。ケースによっては、重加算税などのペナルティが課されることもあります。さらに、違法性はなくとも、節税に走り過ぎると、長期スパンで見ると思わぬ損失を被るリスクもありえます。
今回からは、間違った〝節税オタク〟に陥ることなく、個人事業主が最低限、押さえておきたい税金の基本や考え方を解説していきます。
売上ゼロなのに・・・重くのしかかる「住民税」の負担
納税といえば、まずは「確定申告」が頭に思い浮かぶ方が多いのではないでしょうか。
その内容、ノウハウについては、おいおい解説していきますが、実は個人事業主が払う税金は所得税だけじゃないんです。
以下の図表を、ご覧ください。
[図表]個人事業主の年間納税スケジュール
これは個人事業主に関わる税金納付のスケジュールを示したものです。日程は平成27年度分ですが、例年、大体同じ日程が期限となります。さらに、所得税と消費税について一定の基準に該当すると、表に挙げた納付期限前に、一部をあらかじめ前払いしなければなりません。
そう、事業を始めると、年中、なんらかの税金支払いに追いかけられかねないのです。と、冒頭からウンザリするような話ばかりで恐縮ですが、とくに会社員を辞めたばかりの方にご注意いただきたいポイントがあります。
一つが、住民税の支払いです。
住民税については、前年の所得に対して課税され(所得割額と均等割額の合計で算出)、納付することになります。よって、辞める前年、いいお給料をもらっていた方は「こんなに払うの?」と、予想以上の出費に頭がクラクラしてしまうようなことも・・・。
さらに事業を始めたばかりで売上ゼロの状態でも、容赦なく支払い義務が生じ、年度内4回(6月末、8月末、10月末、翌年1月末)も納付期限がやってきます。
「開業時にコストをかけすぎない」ことをシツコく申し上げるのには、こうしたお金の準備も必要になるからです。
この話は次回に続きます。