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四十肩・五十肩と似た症状・・・「腱板断裂」が悪化した事例

前回は、「四十肩・五十肩」が悪化し、手術をするまでに至った事例を紹介しました。今回は、四十肩・五十肩と似た症状を引き起こす、「腱板断裂」が悪化した事例を見ていきます。

自然と痛みが取れ、安心していたCさんだが・・・

腱板断裂は、四十肩・五十肩と症状が似ているために見過ごされてしまうことがあります。中には腱板が切れていても症状が現れないタイプもあり、痛くないのですから医療機関を受診することもありません。

 

そのため、腱板が切れた状態で普段の生活を続けていますので、気づいたときには腱板が大きく切れていて手術による修復が困難であったり、修復が可能でも切開して行う大掛かりな手術になったりします。そうなると、患者さんにはより負担が大きくなり、治るまでにも時間がかかってしまいます。

 

農業を営んでいるCさんは、最悪の結果を招いてしまいました。昔に比べれば農業も近代化され、だいぶラクになったといわれていますが、まだまだ手作業で行う部分が多く、作物の収穫時期には力仕事になりますので足腰だけではなく、肩にもかなりの負担を強いる重労働です。

 

60代で現役のCさんも、農作業をしていて肩に痛みを感じるようになりました。けれども日々生育する作物を前にして休んでいるわけにはいかず、痛いけれど肩が動いていましたので接骨院に行ったり、市販の湿布薬を貼りながら、だましだまし畑で作業をしていました。すると、数日で自然と痛みが取れたのです。

 

大したことなくて良かったと安心したCさんは、奥さんと息子さんと3人で普通に畑仕事を続けていました。

最悪の場合は「人工関節」になることも

それが、4年ほど続いた頃でした。だんだんと腕に力が入らなくなり、思うように畑仕事ができなくなったのです。

 

さらに、落ち着いていた痛みがまた出てきて、それが日増しに強くなって夜も熟睡できず、睡眠不足が続いて仕事にも支障をきたすようになりました。その様子を見ていた奥さんに、病院で診てもらうように強く勧められたもので、しぶしぶ来院したのでした。

 

すぐにレントゲンを撮ってみると、画像からは肩関節に少し変形が認められました。肩関節は、よく〝けん玉〟にたとえられるように、受け皿とボールの関係にあります。Cさんの肩関節は、その受け皿とボールの距離やボールと肩峰という屋根との距離が少し狭くなっていたのです。

 

これは腱板が大きく切れているサインかもしれませんので、MRIを撮ったところ、やはり腱板の広範囲断裂だったのです。しかも、腱板自体を修復することが困難なほど大きく裂けていました。このような状態で仕事を続けていたために、関節がこすれて変形性関節症も引き起こしていたのです。

 

この状況で手術をするとなると、もはや人工関節にするしかありませんでした。いまのままでは仕事ができませんので、Cさんは人工関節に置き換える手術を受けたのです。これによって肩の痛みから解放され、腕も動くようになって農作業を続けられるようになりました。

 

まさか自分がこのような事態に見舞われるとは思ってもいなかったCさんですが、実は重い荷物を運んだり、農業を営んでいるなど、力仕事に携わっている人は肩への負担も大きく、四十肩・五十肩だと思っていたところが、本当は腱板断裂だったというケースがあるのです。

麻生総合病院 スポーツ整形外科部長

肩治療のスペシャリスト。
医学博士。日本整形外科学会認定専門医。日本肩関節学会代議員。日本整形外科スポーツ医学会代議員。昭和大学藤が丘病院兼任講師。
専門分野はスポーツ整形外科、肩肘関節外科、関節鏡視下手術。
1990年昭和大学医学部卒業。
現在は、同病院で勤務医として活躍するだけでなく早稲田大学ラグビー蹴球部のチームドクターを務める。

著者紹介

連載スポーツ整形外科医が教える 肩とその痛みの基礎知識

 

「肩」に痛みを感じたら読む本

「肩」に痛みを感じたら読む本

鈴木 一秀

幻冬舎メディアコンサルティング

四十肩(五十肩)の発症率は70%を超え、もはや国民病と言っても過言ではありません。 一般に、肩の痛みや違和感は放置する人が多いのが実情ですが、手遅れの場合、尋常ではない痛みと共に日常動作をままならなくなり、最悪の…

 

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