情報化時代に即した理想的な駐車場システムが登場
いまや世の中のすべてが情報で管理される時代になりつつある。音楽でも写真でも印刷物でも、情報に置換できるものはすべて情報化され、実際のモノではなく情報でのやりとりが行われるようになっている。
IT化の波は、駐車場業界にも確実に押し寄せている。その最たるものが、アイテックが業界他社に先駆けて開発したナンバー認証システムによるロックレス(フラップレス)駐車場と言ってもいいだろう。
従来のロック板式駐車場とロックレス駐車場の決定的な違いは、前者が「板」という物理的な障害で不正出庫を防ぎ、管理するのに対し、後者は監視カメラによる心理的な働きかけで正しい利用を促し、情報で管理することだ。
このシステムの生みの親であるアイテック代表取締役の一ノ瀬啓介は、駐車場も近い将来、必ずや情報で管理される時代になることを確信していた。それは、現代社会ではあらゆるものを情報に置き換えるというルールが存在し、ロックレス方式はそのルールに当てはまるからだという。そして「ロックレス駐車場システムこそ、情報化時代に即した最も理想的な駐車場システムだと自負しています」と胸を張る。理想的とは、利用者、駐車場運営会社、土地オーナーの3者ともにメリットをもたらすという意味だ。
ロックレス駐車場システムは、撮影素子が3メガピクセル(300万画素)のナンバー認識カメラ、30万~130万画素で60ワットのLED照明(水銀灯300ワット相当)がセットされた場内モニターカメラ、埋設式の車両センサー、それにネットワーク対応精算機で構成される。クルマが入庫するとナンバー認識カメラが反応して7~8枚の写真が撮影されるしくみで、カメラがあることが心理的抑止力となる。加えて、300万画素という高精彩カメラで昼夜を問わず車両ナンバーを確実に認識することにより、車両をしっかり特定して入出庫を管理できるため、もはやロック板は不要になるというわけだ。
インターネット回線を通じて管理される入出庫状況
駐車場とアイテックのデータセンターはインターネット回線でつながれ、カメラで撮影されたデータはデータセンターで一括管理される。万が一、料金を支払わないで不正に出庫するクルマがあれば、そのナンバーを記録し、後日、再入庫した場合に貼り紙で支払いを促す。不正出庫が何度も続く場合は、陸運局で車両保有者を調べて請求書を送ることも可能だ。
運営会社にとっては、不正出庫を抑止するとともに、不正駐車が発生した場合でも証拠や未回収売り上げの記録が残るというメリットがある。それに、なんといっても、ロック板という物理的障害がなくなるのだから、停めやすいということで、稼働率アップも期待できる。
「ロック板方式に比べて現場がすっきりしていますから、最初はコインパーキングだとわからず、入ってきたクルマが間違いかと思って出ていってしまうということもけっこうありました(笑)。でも、そこがコインパーキングだとわかり、一度停めてみるとロック板式駐車場との違いを実感していただけるようで、リピーターになっていただけることが多いですね」
一ノ瀬としては、まずはひとりでも多くの人にロックレス方式を体験してほしいと思っている。一度でも使ってみれば、その快適性や利便性を実感し、ファンになってくれるものと確信しているからだ。
駐車場運営会社のNTTル・パルクではアイテックのロックレス駐車場システムをいち早く導入しているが、NTTの光回線が利用できることも導入の大きな理由になっているようだ。
ロックレス駐車場システムでは、インターネット回線を通じて遠隔で入出庫状況を把握でき、ネットワーク対応精算機によってクレジット決済などキャッシュレス精算も行えるようになっている。監視カメラの画像を確認したり、ナンバー認証を行うにも、すべてインターネット回線が使われる。それらすべてに光回線を利用しているというわけだ。
NTTル・パルクでも、最初はコインパーキングであることが認識されにくく、月極駐車場かと誤解されることも多かったようだ。そのため「フラップ(ロック板)のない、駐車しやすいコインパーキングになりました」と明記された看板を掲げたという。まずはロック板がなくなったことをアピールするためだ。
ロック板の車止めがなくても、そこがコインパーキングであることがわかると、やはり断然停めやすいということで、利用者はどんどん増えていった。利用者にとっての利便性が高まり、不正出庫も激減していることから、NTTル・パルクが運営する駐車場ではロックレス方式が積極的に導入されるようになり、約300カ所の全駐車場がまもなくロックレス駐車場に切り替わる予定だという。