ナンバー認識カメラのデザインが「丸み」を帯びる理由
「われわれは、一ノ瀬のアイデアをどうすれば実現できるかを考えるわけです。たとえばロックレス駐車場システムの場合、最初はナンバー認識カメラや防犯カメラの画像をすべてセンターのサーバーにあげていたのですが、それではすぐにサーバーがパンクしてしまいます。ですから、正規に出庫していった分については、どんどん消していくようにして、不正出庫が起こった場合のみ、精算機のデータや画像データなど必要なデータが自動的に収集できるよう、データの流れを変えるなどの改良を重ねてきました。
その場合、センターだけでなく、ロックレス駐車場システムが納入されている全駐車場のプログラムも変更しなければいけなくなるわけです」
このように、システムがリリースされたあとも改良・改善は続き、三代澤たち技術者は、日々技術開発の手を緩めることはない。2013年10月には、ネットワーク対応精算機との高速レスポンス維持のため、センターのシステムを大幅に増強・更新している。また、システム系の進化にとどまらず、ナンバー認識カメラがセッティングされたポールの外見も、よく見るとリリースした当初とはずいぶん変わってきている。最初は鉄を曲げてつくった角ばったスタイルだったが、いまはアルミ製で丸みを帯びたデザインに変わっている。その理由を一ノ瀬はこう説明する。
「クルマのデザインが丸みのあるものが多くなっていますから、同じように丸みをつけたかったのです。アルミ製にしたのは、錆さびないようにするためです。中の電子部品は当初より安くなってきていますが、外側をアルミ製にした分、コスト高になっています」
超音波でクルマを感知するセンサーも開発中
そのほか、クルマが入ったことを感知するセンサーも、現在はループコイルと言われる埋設型が使われているが、超音波でポールから入出庫を感知できる新しいシステムを開発しているところだ。目下、テスト段階であり、実用化されればセンサーを埋めなくてもよくなるので、ロックレス駐車場システム導入時のコストダウンにつながる。見た目もよくなるし、地面をわざわざ舗装しなくても、砂利やタイル、テラコッタなどでもポールの設置は可能だ。
「埋設型のセンサーは磁気を利用しているのですが、今後、クルマが脱鉄のしくみになっていったとき、アルミやプラスチックでは感知できなくなってしまいますから、それへの備えという意味合いもあります」
ナンバー認識システムは、今後も微調整を加えながらバージョンアップしていくにしても、かたちとしてはそろそろ一ノ瀬がめざす完成形に近づいていると見てよさそうだ。
最近は他のメーカーからも「ロックレス」「フラップレス」を謳った製品が出てきているが、やはりパイオニアであるアイテックには一日の長がありそうだ。