今回は、「10の投資」ペーパー資産編②として、コモディティETF(Exchange Traded Fund)を取り上げます。コモディティETFを持つメリットとデメリットを中心に見ていきます。

選択肢が豊富になっているコモディティETF

●コモディティETFを持つメリット
少し前まで、国内ではコモディティ指数連動型のETFが買えず、コモディティに投資したいときは、投資信託を選択するしかありませんでした。しかし今では、国内ETFや海外ETFの中で、コモディティ指数に連動する銘柄も増えています。特に、ここ数年でコモディティの認知度はぐっと高くなり、みなさんの選択肢も徐々に増えつつあるといってよいでしょう。

コモディティETFは、「コモディティ指数(国際商品指数)」といわれる、さまざまなコモディティの平均値のようなものに連動します。コモディティ指数にも種類があり、「比較的エネルギー関連の比率が高いもの」「貴金属に特化したもの」「農産物に特化したもの」など、特色はさまざまです。

 

このように、何かに特化したインデックスのことを「サブ・インデックス」と私は呼びますが、これらサブ・インデックスを複数持つことによって、コモディティ内での分散を図ることが可能です。

 

たとえば、穀物インデックスETFと、エネルギー・インデックスETFを組み合わせるとしましょう。一般に穀物は景気変動の影響より、むしろ穀倉地帯の天候の影響を大きく受けます。2010年に起きた天候不順によって、世界的に穀物相場が上昇したのをご記憶の方も多いでしょう。

 

これに対し、エネルギーは景気の影響を大きく受けます。このように性格の異なるサブ・インデックスをETF経由で保有することにより、コモディティ資産全体の価格変動をある程度抑えることができるわけです。

 

このような分散型のコモディティETFに加え、たとえば金や銀、プラチナ、パラジウム、原油、トウモロコシなど、ある特定のコモディティ価格のみに特化したコモディティETFもあり、これらを組み込むことによって、さらにみなさんのポートフォリオを安定させることは可能です。

 

ETFに限らず、関連の商品すべてについていえますが、コモディティへの投資は長期的に見て高いリターンも期待できます。BRICs、ASEANといった新興国が成長して、世界の人口も増えつつある今、コモディティへの需要も増えるばかりです。新興国の成長は今後も急ピッチで続くと予想され、需要が減少するような事態は、あまり考えられません。

 

なお、コモディティ自体は実物資産なので、そもそも信用リスクはありません。万一コモディティETFが上場廃止になっても、無価値になることは考えにくく、おそらく時価近辺で償還を受けることになるでしょう。加えてインフレに強い資産でもあり、保有しておけばインフレ対策にもなります。

市場規模が小さく、価格変動も大きい点に留意

●コモディティETFを持つデメリット
コモディティは全般的に市場規模が大きくありません。にもかかわらず、最近はヘッジファンドや機関投資家などもコモディティに積極投資しているため、短期間で巨額の資金が流入し、実際の商品の需給とは離れて、相場が乱高下することもよくあります。

 

仮に暴落したとしても、そもそも信用リスクがないので、じっと耐えていれば値上がりする可能性は十分あるのですが、短期的な価格変動により、保有者は長期にわたってストレスにさらされ続けることになるでしょう。

 

さらに、先ほどの株式ETFと同じく、流動性の点でも注意が必要です。特に、東証に上場する国内のコモディティETFにその傾向が顕著なのですが、中には一日でたったの一株も約定しないような銘柄もあります。このようなものを買うと、売りたいときに売れなくなるリスクが高いため、購入する際は過去の出来高にも十分注意してください。また、株式・債券ETFとは異なり、原則として分配を行わない点も、人によってはデメリットと感じられるかもしれません。

 

●買うタイミング
コモディティ市場は規模が大きくはないため、価格の上下動が大きいものだと考えるべきです。相場に過熱感があるときに買うと、あっという間に急落して、その後長期にわたり含み損を抱えることになりかねません。

 

購入時には、「ロイター/ジェフリーズCRB指数」など、主要なコモディティのチャートをチェックして、相場の過熱感をつかむよう心がけてください。ただし、先ほどの株式ETFと違って、コモディティにはPERなどの投資の尺度がありません。ですから、コモディティ市場の過熱感をつかむのは、なかなか難しい作業といえるでしょう。

 

それに、人間には近未来、たとえば数日とか数週間といった未来を予想する能力があるとは思えません。高値づかみを回避する唯一の策は、やはり時間による分散に尽きるのではないでしょうか。

 

●どこで買えばいい?

海外ETFも取り扱っているインターネット証券会社がおすすめです。特に楽天証券は、国内最多の銘柄数をそろえているので、使い勝手がよいのではないでしょうか。それでも、楽天証券で買えるのは世界中に上場している全銘柄(約5000銘柄)のほんの一部にすぎません。株式ETFに関しては、必要にして十分な銘柄数なのですが、コモディティETFの種類はまだまだ不十分です。

 

国内で買えないものは、海外の証券会社の口座やプライベート・バンク経由で買うしかなく、ハードルが高くなります。逆に、このような口座をお持ちの方は、幅広いETF群の中から自由に銘柄を選択できるといえるのです。

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    本連載は、2013年12月19日刊行の書籍『日本が財政破綻しても資産を奪われない10の投資』から抜粋したものです。その後の税制改正等、最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。

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