土地の価格が安く、しかも駅徒歩圏内
そもそもアパートは、どういった場所に建てるのがふさわしいでしょうか。駅から徒歩3分以内程度の、いわゆる駅近と呼ばれるエリアは、都市計画法の区分では商業地域が多いのです。
あなたの近くの、栄えている駅を想像してみてください。駅のすぐそばの商業地域には、どんな建物が建っているでしょうか。商業施設やオフィスビル、高層のマンションばかりではありませんか。このエリアで戸建住宅やアパートを見かけることは、ほとんどありません。商業地域は住む人全体にとって利便性の高い建物が並びます。小規模の住宅は建っていません。もし建てるとしたら、目玉が飛び出るほどの高額になってしまいます。
[図表1]駅からの距離と建物の関係
商業地域から少し離れ、駅から徒歩3~7分程度のエリアは近隣商業地域が多くなります。ここも階数が多く背の高いマンションや店舗が建っていることが多いでしょう。住宅街が広がるのはさらにその外側のエリア、駅徒歩7〜15分程度の場所になります。高い建物は都市計画上無理なので、比較的低い建物が並ぶわけです。このエリアの土地の価格は安く、しかも駅徒歩圏内なので、アパートを建てるのにもっともふさわしい場所となります。
土地を探す際は「前面道路」の法的規制に注意
徒歩15分程度のエリアでアパートを建てる土地を決めたら、続いて何階建ての建物にするかを考えてみましょう。ここからまた少し専門的な話になりますが、土地にはそれぞれ建ぺい率と容積率というものが法律で決められていて、建物の面積と高さに制限があります。たとえば建ぺい率が80%で容積率が400%に制限された、100㎡の土地があったとします。
この場合、土地に建てられる建物の面積は80㎡で、建物のすべての階層を合わせた部屋面積の合計は400㎡以内に制限されます。1フロアが80㎡で、全部で400㎡というのは、5階建てから6階建ての建物です。この建ぺい率80%で容積率400%というのは、商業地域付近の駅近くの土地に設定されている値です。
では、アパートを建てるのにふさわしいエリアの値はいくつかというと、地域によって異なりますが、おおむね建ぺい率60%で容積率200%ほどになります。
そして、ここからさらにちょっとややこしい話。敷地前面の道路幅が4m以下だと、容積率は160%にまで下げられてしまうのです。販売図面には容積率200%と書かれていても、前面道路の法的規制によって実は160%だった、という土地はよくあります。土地を探すときは、この点を見落とさないよう注意してください。