2階建てのアパートならトータル7ヵ月で完成だが…
前回の続きです。
もうひとつの大手が参入してこない理由は、効率の悪さです。といっても回収効率といった投資側の話ではなく、建築会社から見たスピード効率の話になります。新築・木造・3階建てアパートは、完成までの期間が長い、というのはデメリットのところでもお伝えしました。ここが大手にとってネックとなっています。
実際の期間を見てみましょう。新築・木造・3階建てアパートの場合、図面の作成や各種確認申請と取得、さらに近隣への説明で4カ月の期間を要します。そこからようやく着工となり、無事に完成するまでおおよそ5カ月。全部で9カ月程度かかるのです。
これが2階建てとなると、申請などの手間は少ないため、着工まで2カ月ほどで済みます。工期はおおよそ5カ月。トータルで7カ月程度です。3階建てアパートがようやく1棟完成する9カ月の間に、2階建てアパートはすでに1棟が完了、その後すぐに2棟目にも着手したならば、工事は半ば近くまで進んでいます。2階建てと3階建ての建築効率には歴然とした差が生じています。
大手建築会社は「工期の長さ」を敬遠
建築会社がもっとも重要視するのは売上です。どれだけ工期を詰めて、どれだけ無駄を省けるか。スピード感のある建築を行い利益を追求していくことが課題になっています。よって1年ほどで2棟建てられる2階建てアパートが、大手にとって最大の効率をもたらしてくれる選択肢となっています。つまり、スピード面で効率の悪い3階建てアパートに大手がわざわざ参入する理由などないのです。
3階建てアパートの求める効率はオーナーの立場に立った収益性です。高い入居率を達成し、土地を最大限に活かした建物で、オーナーに最大限の家賃収入がもたらされることを主目的とします。
オーナーの資金が潤沢になったら、2棟目、3棟目とさらにステップアップしていく。というように、良い循環を生み出すことができます。工期が長いというリスクを、長期的な収益で埋め合わせているのです。これは建築と管理両方を請け負っている会社だからこそ、できることと言えるのかもしれません。