構造的に「防犯・防災」に優れる
安全性でも3階建てアパートのほうが勝っている点は多くあります。前回、述べたように2階建てアパートはオープンな構造なので、誰でも容易に部屋の前まで行くことができてしまいます。防犯対策は万全とは言えません。
2階建てアパートでもオートロックにすることは可能ですが、導入にともなうコストロスが大きく、なるべくローコストでアパートを建てたいオーナーには採用しにくいものとなっています。
対して3階建てアパートは、前回解説したような3階建てであるが故の外壁(見た目)の重厚感などから、オートロックやモニターフォンなどの防犯設備を導入しても何ら違和感はありません。また建築時の確認申請では、地震や火災に対する構造計算が必要となり、第三者機関による厳しい審査が入ります。この審査を乗り越えて建った3階建てアパートは、耐震性に優れた建物であることを意味します。
つまり、2階建てに比べて3階建てのほうが、地震や火災に対するリスクが抑えられていて、入居希望者にとっての安心材料につながるということです。
防音性が低い木造建築…工法等の工夫で対応を
ここまで新築・木造・3階建てアパートの良いところばかりを挙げてきていますが、もちろんほかの建物に比べて劣っているところもあります。ここでは新築・木造・3階建てアパートの抱えているデメリットについても触れておきましょう。これらデメリットは事前に把握し準備・対策しておくことが可能ですので、参考にしてください。
【音漏れのトラブルが起こりやすい】
音の問題はどんな建物であっても起こりうるものですが、木造建築ではとくにトラブルになりやすいものです。標準仕様の木造では、残念ながらほかの建物に比べて防音性は低いでしょう。私の会社では防音対策としてサウンドカットとスーパーハードの二重張りという、防音のための緩衝材を挟み込む工法を施しています。さらに防振吊り木という階下に振動を伝えづらくする装置も組み込んでいます。これらの対策によって防音効果は十分に発揮され、防音に関する苦情は格段に減ってきています。
入居者のマナーにも配慮しなければいけません。騒音トラブルの原因のほとんどが入居者のマナー違反によるものです。これは木造だけでなく鉄骨造やRC造の建物でもよくあるトラブルです。これらに効果的なのは入居者へのマナー指導を徹底することです。管理会社と協力して、入居者のマナーを一定以上の水準に保つように工夫することで、騒音トラブルをできる限り回避しましょう。
この話は次回に続きます。