「為替相場」はプロでも読むのが難しい
「ちなみに、さっきの話にも出た、外貨預金ってどういう商品なんですか?」
「外貨預金は、日本より高い金利の国の通貨に替えて、銀行に外貨で預けて運用する金融商品のこと」
「外貨預金って、何かかっこいいイメージですよね。仕事ができる、グローバルな男がやっているような」
「そんなかっこいいものじゃないよ。昔は、そんなイメージに憧れたOLたちが外貨預金をやって、大損こいたみたいだけど」
「えっ、損しちゃったんですか?」
「円高時に外貨に交換して、円安時に日本円に戻すことで差益を得るんだけど、為替相場の動きを読み込むのは、プロでも難しい。だから、素人は失敗しやすい。これまでの商品に比べると、リスクは大きいね」
「(じゃあ、全然ミドルリスク・ミドルリターンじゃない気が・・・)」
金融機関のチラシの数字は魅力的だが…
「さらに、痛いのは為替手数料がとても高いということ」
「為替手数料?」
「外貨に換金するときの手数料のこと。だいたい1ドルにつき1円、と設定されているから、1万ドルを購入すると、余計に1万円ほどかかってしまう。で、日本円に戻すときにも、同様のお金がかかってしまう」
「・・・ということは、100万円分の商品を買ったら、101万円を払わなければいけないんですね」
「仮に、1年満期のUSドル定期預金1万ドル、表面年利率3.75%(税引後3.00%)として計算してみようか。まず、1万ドルを預金するのに101万円が必要になる。加えて、一律20%の源泉分離課税がかかるから、1年後は1万300ドル(103万円)。日本円に換金すると、また為替手数料がかかるから、手数料の1万300円を引くと101万9700円。利益は最初に投じた101万円を引いて9700円(図表)」
[図表]
「(??・・・)」
「重要なのはここから。これを利回り計算すると、9700÷101万円×100=およそ0.96%。銀行の店頭表示には金利3.75%とあっても、実質は0.96%しかないということなんだよね」
「・・・計算ばかりで頭が追いつかないんですが、つまり、どういうことですか?」
「要は、手数料が多くかかるから、日本の銀行の預金金利よりはいいけど、思ったほどプラスにはならないということ。チラシには魅力的な数字がたくさん書いてあるから、見かけの数字と実態を精査したうえで判断しなければいけません」