どこの商圏にも属さない「空白域」を狙う
日々しのぎを削るコンビニエンストア。綿密な出店戦略と売上予測をもとに新規出店の戦略(および既存店の閉店)を決めているようですが、基本的な考え方を説明するための地図を描いてみました。
図表1は、筆者の生活圏である静岡県東部地域のコンビニエンスストアの分布図です。各チェーンのWebサイトから住所録を作り、緯度経度情報に変えて地図に落とし込みました。
[図表1]静岡県東部のコンビニエンスストアの分布
さらに出店候補地を探すと仮定して、徒歩圏である半径500mの商圏円を表示しました(図表2)。店が密集している地域(図表左下:沼津駅周辺)では、商圏が幾重にも重なり合っていますが、郊外ではどこの円にも属さない「コンビニ商圏空白域」があることがわかります。
[図表2]各店舗の商圏(半径500m 範囲)
地理情報システムをいち早く活用していたマクドナルド
図表3はコンビニエンスストアの分布図に、国勢調査に基づいた500m四方のメッシュごとの人口密度の地図を重ね合わせたものです。人口密度が高い(1km四方で2,000人以上)にもかかわらず、どのコンビニエンスストアの商圏にも入ってこない場所を何カ所か見つけることができます。
[図表3]人口密度(2005年)と商圏の重ね合わせ
ハンバーガーチェーンのマクドナルドは、早くから独自の地理情報システム(GIS)を確立し、それまで1週間近くかけて検討してきた新規出店の候補地選びを30分程度にまで短縮したそうです。出店の検討をパターン化することで、時間と人件費を削り、最適な出店と不採算店の閉鎖(スクラップ・アンド・ビルド)を繰り返していくことで、競争力を維持していると思われます。