訪日観光客のデータから読み解く「観光振興の課題」とは?

今回は、訪日観光客のデータから「観光振興の課題」を考察します。※本連載は、静岡県立高校教諭で、日本地図学会所属の伊藤智章氏の著書、『地図化すると世の中が見えてくる』(ベレ出版)の中から一部を抜粋し、情報の「地図化」の有用性や具体的な事例をご紹介します。

集客力のある都市がヨーロッパに集中している理由

前回の続きです。

 

中国をはじめ、アジアの都市も多くの観光客を集めていますが、集客力のある都市は特にヨーロッパに集中していることがわかります。先進国同士が陸続きで、交通網が発達し、周遊観光がしやすいことや、それぞれの都市に魅力があり、域内外から多くの観光客を集めていることが想像できます。

 

ちなみに、日本の東京は375万人で、36位でした。上海(20位)、モスクワ(24位)、北京(25位)よりも少ないのはともあれ、ブダペスト(ハンガリー)(27位)、ソフィア(ブルガリア)(30位)、ホーチミン(ベトナム)(33位)、リマ(ペルー)(34位)あたりと同じくらいとなると、もう少し頑張ってほしいところです。

 

ちなみに、東京都がまとめた「訪都旅行者数等の実態調査結果」(平成26年版)によると、平成26年(2014年)の1年間に東京を訪れた外国人観光客は約887万人で、この数値を世界ランキングに当てはめてみると、11位(イスタンブール:882万人)、12位(ローマ:867万人)あたりにまで上昇しました。

※ 東京都「訪都旅行者数等の実態調査結果」

http://www.metro.tokyo.jp/INET/CHOUSA/2015/09/60p97200.htm

リピーター客をどう呼び寄せるかが観光振興の課題に

図表は、日本への外国人旅行客の推移を2003年と2013年とで比較したものです。全体的に増加している中で、特に中国・台湾と、東南アジアからの旅行客が増えているのが特徴です。

 

[図表]おもな国の訪日外国人数と増加率

〈日本政府観光局(JNTO)より作成〉
〈日本政府観光局(JNTO)より作成〉

 

アジアからの外国人観光客のイメージは、国によっては何十年か前の日本の団体観光客そのものです(実は、そういうスタイルの旅行に対応して作られた古いインフラを有効利用している面もあります)。

 

しかし、個人旅行が定着した国(台湾や韓国など)では、日本の地域ごと、テーマごとに掘り下げたガイドブックもたくさん出されており、北海道や九州にリピーターとして訪れる人も少なくありません。1回限りの「観光客」の誘致から、リピーター客をどう呼び寄せるか、長く滞在していかにゆったりしてもらうかが、これからの観光振興の課題と言えます。

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静岡県立高校 教諭

日本地図学会学校GIS 教育専門部会主査
NPO法人「伊能社中」ティーチング・フェロー
1973年 静岡県生まれ。 
立命館大学大学院文学研究科地理学専攻博士前期課程修了
教育現場のニーズを踏まえ、「ほぼ無料」「教科書準拠」をモットーに、
デジタル地図を使った教材と、作り方のノウハウを多数発表している。
15年来、生徒からも同僚からも「いとちり先生」と呼ばれ続けて現在
に至る。
◎著書『いとちり式地理の授業にGIS』(古今書院:2010年)
◎ブログ「いとちり」(http://itochiriback.seesaa.net/)

著者紹介

連載あふれ返る情報を視覚的に理解する「データの地図化」

本連載は、2016年9月25日刊行の書籍『地図化すると世の中が見えてくる』から抜粋したものです。その後の統計情報等、最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。

地図化すると世の中が見えてくる

地図化すると世の中が見えてくる

伊藤 智章

ベレ出版

世の中には様々な情報が溢れていますが、これらを地図上に落とし込んでみると、いろんなことが「目に見えて」わかるようになるのではないかと試みました。 本書では自然環境・産業・資源・エネルギー・生活と文化・人口の様々…

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