(※写真はイメージです/PIXTA)

相続手続きは、想像以上に複雑で、思わぬトラブルを引き起こすことがあります。特にきょうだいがいる場合や、その配偶者が意見を述べてくると、事態はさらに複雑化します。本記事では、あねがわ司法書士事務所の姉川智子司法書士が、長年介護をしてきた子どもが遺産分割で不公平を感じ、きょうだい間で意見が対立した結果、手続きが進まなくなり、精神的にも疲弊してしまった事例をもとに、その解決策を解説します。

「介護をした妻」から“特別寄与料の請求”をすることも可能だった

民法第906条には「遺産の分割は、遺産に属する物又は権利の種類及び性質、各相続人の年齢、職業、心身の状態及び生活の状況その他一切の事情を考慮してこれをする。」と規定されており、法定相続分の規定は一つの目安にすぎません。また、故人について、相続人の親族が無償で介護していたなどの特別の寄与が認められるものについては、特別寄与料の請求が可能です。

 

以前は相続人でないと寄与分の請求も認められませんでしたが、2018年の民法改正により、相続人以外の親族からの請求も可能となりました(民法第1050条第1項)。

 

遺産分割協議には、まず相続人それぞれの想いをよく聞いて、故人に対する生前の貢献度や、死後に不動産やお墓・お仏壇などの祭祀を継承する人にかかってくる費用などを考慮してバランスを取っていくことも大切です。そのうえで法律の規定に沿って全員が納得いくように分けていくためには、専門家が関与し、アドバイスを受けることが重要になってきます。相続の事情は千差万別ですので「過去に手続した経験があるから大丈夫」とは必ずしも限りません。

遺産分割のトラブルを避けるために。今すぐできる対策

一度まとめた遺産分割協議を再びやり直すことは現実的にも難しくなるため、相続が開始したら早い段階から専門家に相談することをお勧めします。

 

また、遺産の分割で揉めないよう、元気なうちに自身にはどのような財産があるか、誰にどう引き継いでほしいのかを遺言やエンディングノートに残しておくことも大切です。あなた自身の言葉で伝えることが、死後のトラブルを防ぐことに繋がります。

 

あなたの大切な人たちが将来揉めることがないよう、今のうちからご家族で話し合う機会を作っていかれることを願っています。

 

 

あねがわ司法書士事務所

司法書士

姉川 智子

 

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※事案の詳細については、実際の事実関係とは一部異なる内容が含まれています。

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