今回は、地目の異なる土地の具体的な評価事例を見ていきます。※本連載は、税理士・小寺新一氏、不動産鑑定士・税理士・吉村一成氏の共著、『改訂版 税務署を納得させる不動産評価の実践手法』(実務出版)の中から一部を抜粋し、土地の評価でポイントとなる「地目」と「評価単位」について解説します。

地目が異なる土地の場合、地目ごとに評価

前回の続きです。

 

次に、「一体として利用されている」の意義についてみると、例えば、「宅地」と「農地又は山林」のほか、「農地」と「山林」も一体として利用はしませんから、「宅地」と「農地又は山林」、あるいは「農地」と「山林」が一団の土地を形成していても、同項ただし書の適用はありません。また、例えば、「宅地」と「貸駐車場用地(雑種地)」は一団の土地を形成していても、一体として利用してはいません。

 

そうすると、次の下記の図のような地目の異なる土地は、地目ごとに評価をすることになります。

 

[図表1]

[図表2]

 

「地目ごとに評価する」とはいえ、これらの土地をどのような方法で評価するかについては疑義が生じるかと思います。

 

この点については、次の国税庁ホームページの【質疑応答事例】「宅地の評価単位−自用地と自用地以外の宅地が連接している場合」に示されていますので、この回答要旨に準じて評価すれば足ります。

白用地と白用地以外の宅地が連結している場合は?

●質疑応答事例

 

※(国税庁ホームページ)

 

宅地の評価単位−自用地と自用地以外の宅地が連接している場合

 

【照会要旨】

次のように利用している宅地の評価単位はどのように判定するのでしょうか。

 

[図表]

(注)A土地は、B土地とも同一の者が所有し、A土地は自用家屋の敷地として、B土地は左のように利用している1棟の建物の敷地として利用している。

 

【回答要旨】

A土地は所有者が自ら使用する他者の権利が存しない土地ですが、B土地は所有者が自ら使用する一方で他人の権利(借家権)も存する土地であり、A、B両土地は利用の単位が異なっているといえますから、別個の評価単位となります。

 

なお、これらの土地は次のように評価することになります。

 

① A土地については、通路部分が明確に区分されている場合には、その通路部分も含めたところで不整形地としての評価を行う。

 

通路部分が明確に区分されていない場合には、原則として、接道義務を満たす最小の幅員の通路が設置されている土地(不整形地)として評価するが、この場合には、当該通路部分の面積はA土地には算入しない。また、無道路地としての補正は行わないことに留意する。

 

② B土地については、B土地を一体として評価した価額を、原則として、建物の自用部分と貸付部分との床面積の比により按分し、それぞれ自用部分の価額と貸付部分について貸家建付地としての評価をした価額を算出し、その合計金額をもって評価額とする。

 

【関係法令通達】

財産評価基本通達7−2

改訂版 税務署を納得させる 不動産評価の実践手法

改訂版 税務署を納得させる 不動産評価の実践手法

小寺 新一,吉村 一成

実務出版

土地評価の基礎知識から特殊な状況にある不動産の評価手法に至るまでの手順を簡潔明瞭に提示。不動産評価の現場業務に直結する評価物件の物的確認や法的利用規制の確認など、不動産評価を的確かつ効率的に進行させるための実務…

人気記事ランキング

  • デイリー
  • 週間
  • 月間

メルマガ会員登録者の
ご案内

メルマガ会員限定記事をお読みいただける他、新着記事の一覧をメールで配信。カメハメハ倶楽部主催の各種セミナー案内等、知的武装をし、行動するための情報を厳選してお届けします。

メルマガ登録
会員向けセミナーの一覧