ドイツの不動産は日本とは異なり、「建物」と「土地」を明確に分類せず、また、土地よりも建物が高く評価されることが一般的です。今回は、そうした特性によって得られる効果について見ていきます。

建物と土地に「分ける」という概念がないドイツ不動産

不動産は「建物」と「土地」に分けることができます。建物部分は、時間の経過等により価値が減っていくので、「減価償却資産」と呼ばれます。一方、土地には減価償却はありません。これは多くの方がご存知のとおりです。

 

 

とはいえ、ドイツの不動産は、建物と土地に分けるという概念がないため、「建物価格」と「土地価格」を明確にするのは容易ではありません。

 

では、どのように計算をするかというと、"Bodenrichtwert"という名称の、ドイツ版の路線価がわかるものを利用する方法が一般的です。Web上で参照することができ、誰でも閲覧可能です。そこにはエリアの道路ごとに㎡あたりの単価が記載されているので、あとは日本で行われているように、面積を乗じていくことで計算ができます。

 

Bodenrichtwertの一例
Bodenrichtwertの一例

 

マンションなど、土地が共有持ち分になっている場合でも、日本の路線価計算の方法を参考に考えていただくのが基本です。ただし、細かい計算方法などがあるため、税理士と相談しながら進めてください。

 

土地の価格が計算できれば、不動産価格から土地価格を控除したものが建物価格となります。

日本の所得税法の適用で償却メリットも

ベルリン不動産の魅力は、建物:土地の価格の比率が、平均で7:3~8:2と言われるほど、建物価格が高いところにあります。おそらく歴史を積み重ねた重厚な建物がそうさせているのしょう。

 

さらに、ドイツの中古不動産市場が非常に活発であることも重要です。日本では新築物件に高い価値を置かれ、中古物件ほど価値が下がっていくのが一般的です。しかしドイツでは築50年、築100年の建物であっても高い価値を維持しており、中古物件のほうが新築物件より高値で取引されることもよくあります。

 

ドイツの不動産であっても、日本に居住している個人、及び日本にある法人が購入する場合は、日本の所得税法が適用されます。そのため、ドイツの減価償却ではなく、日本の減価償却で計算されます。

 

不動産的な価値が高く、その価値のうちの多くを建物比率が占めている物件に対して日本の減価償却が適用された場合には、高い節税効果が出てきます。

 

くわしい計算方法は国税庁のホームページ等をご参照いただきたいのですが、日本の減価償却では、耐用年数を超えた建築物に対し、短い減価償却期間が適用されます。

 

ドイツでは、最も一般的な石造り・レンガ造りの建物の場合、新築時には38年として減価償却計算されるのですが、38年を超えた中古物件の場合は、7年で償却することが可能です。

 

 

建物比率が70~80%のものを7年で償却できるとなると、1年当たりの減価償却費は大きくなります。また、賃貸収入等から減価償却費用を含む諸経費を控除した結果、不動産所得が赤字となった場合は、ほかの所得と損益通算することが可能となります。

 

ドイツ・ベルリン不動産の魅力を支える太い柱には、「キャピタルゲイン」「インカムゲイン」がありますが、「減価償却」は、それらに次ぐ3本目の柱だといえるでしょう。

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