前回は、髪の毛にダメージを与えるものについて説明しました。今回は、「白髪の人は薄毛にならない」という説について検証します。

「白髪の人は薄毛にならない」は迷信

最後に、薄毛と関連づけて語られがちな「白髪」についても考察してみましょう。

 

よく「白髪の人は薄毛にならない」などと言われます。しかし、これは医学的根拠のない俗説に過ぎません。薄毛と白髪に関連はなく、白髪でも薄毛になる人はたくさんいます。

 

そもそも白髪は、毛幹(頭の表皮から上に出ている毛)の色素喪失ですが、その仕組みは完全には明らかになっていません。加齢によって毛包から髪に色を与える色素細胞(メラノサイト)の働きが失われることが原因ともされ、そこには活性酸素の影響があるといわれます。

 

色素細胞は毛包の中に10年以上もとどまり、髪の毛に色素を与えるため活発に活動することで、活性酸素を大量につくり出すとされます。この活性酸素を除去する能力が加齢とともに衰え、自分でつくり出した活性酸素自体によって色素細胞は衰えてしまうといわれているのです。

 

活性酸素が蓄積すると、がん化する危険性があるため、生体の防御反応として色素細胞100自身が「細胞の死(アポトーシス)」を自ら選択しているとも考えられています。その結果、白髪が増えるというわけです。

 

ちなみに、タバコを吸う習慣がある人のほうが、喫煙の習慣がない人よりも白髪が多いという事実があります。これも喫煙によって生まれる活性酸素の影響があると思われます。白髪が増えていく経緯としては、男性はこめかみやもみ上げから白髪が始まり、女性は生え際の毛から白髪が増え始め、頭頂→側頭部→後頭部の順番で広がっていく傾向にあります。

「薄毛は遺伝」とは限らない。生活習慣の見直しを

こうして見てみると、生活習慣における特に大切なポイントとしては、次の4つが挙げられます。

 

①髪の毛の素材となるタンパク質をはじめ、髪によいビタミンやミネラルなどの栄養素をバランスよく十分に取ること。食事でどうしても十分摂取できない人には、第4章でご紹介するサプリなどもあります。

 

②成長ホルモンや女性ホルモンが正常に分泌され、過剰にストレスホルモンが分泌されないように、ストレスの少ない生活をすること。

 

③全身の血流をよくすること。頭皮の血流促進のためには、こちらも第4章でご紹介する外用薬などもあります。

 

④頭皮環境を整えること。シャンプーのしすぎには十分注意し、濡れた髪を放置するのもやめましょう。

 

そのほかに睡眠なども、もちろん重要です。そうお話しすると、こんな声が聞こえてきそうですね。

 

「うちは父親も祖父も母親も薄毛の家系だから、いくら生活習慣に気をつけても無駄だ。きっと自分も薄毛になる運命なんだ」

 

この「薄毛=遺伝説」はかなりの確率で信じられています。確かに薄毛には家族性のものもあり、何らかの遺伝的要因(薄毛になりやすい家系)もあります。しかしながら、薄毛とは、とても複雑に、さまざまな要因がからみ合って生じるものなのです。つまり、薄毛は「多因子遺伝性疾患」。遺伝だから将来絶対に薄毛になる、とまでは言いきることはできません。

 

仮に、父親も祖父も薄毛だったとしても、若い頃から生活習慣に注意し、栄養をしっかり摂り、予防としてサプリをきちんと飲んでいれば、薄毛にならずにすむこともあります。

 

じつは私の父方・母方両方の祖父も、父親も、薄毛でした。そのせいかどうかは断定できませんが、私も20代後半から髪が薄くなり始めたことは先にお話しした通りです。それでも、自身のクリニックで自ら治療を行った結果、豊かな髪の毛を復活させることができたのです。

専門医が徹底解説! 女性の薄毛解消読本

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元神 賢太

幻冬舎メディアコンサルティング

いつまでも若々しく美しくありたいと願いながら、髪の悩みに関しては「結局、歳には勝てない」とあきらめてしまう女性が多いという現実……。 「美のコンシェルジュ」として、10代から70代までと幅広い女性たちの薄毛の悩みを…

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