前回は、一般の住宅を使って「特区民泊」のサービスを行うために必要な条件等を紹介しました。今回は、特区民泊として東京都大田区の第一号認定を受けた物件の例を見ていきます。

自動火災報知設備の設置や近隣への配慮もポイントに

現在、大田区では26件(2016年11月2日現在)、大阪府では4件(2016年11月22日現在)の施設が特区民泊の認定を受けています。ちなみに、いずれの特区においても第1号の認定を受けたのは当社が申請した物件でした。

 

大田区の第1号認定を受けたのは2物件で、そのうちの一つ、「SJヴィラ蒲田A」は、JR蒲田駅から徒歩圏にある築65年の古民家を改装した約50平方メートルの平屋です。家庭用火災報知設備とは別に、消防署の指導により無線式自動火災報知設備を4個設置しています。費用は4個で約12万円でした。


また、近隣への配慮として、セキュリティー対応のため警備会社に加入し、門扉を設置することや、一般ゴミの集積は、テラスにゴミ箱を設置し、提携業者が回収することなどを実施しています。

甲冑も着られる!? オーナー好みのユニーク民泊

また、もう1件、特区民泊の実例として当社が仲介している物件の中からひときわユニークなものを紹介しましょう。ここは刀匠・和泉守兼定の末裔の方がホストを務めている「サムライハウス幸村荘」です。羽田空港からわずか3分という好立地。古民家を個性的な民泊にリノベーションした一棟貸しの施設でご家族やグループでの宿泊に最適です。

 

施設名の由来はNHK大河ドラマ『真田丸』の主人公である真田幸村。何とここには、大坂夏の陣で徳川家康を追いつめた戦国一の名将・幸村公の甲冑が用意されており、実際に着ることはもちろん、近隣併設の写真スタジオで写真撮影をすることもできるのです(甲冑写真撮影はオプションになります)。


宿泊客からの評価は高く、クチコミ総合は5段階表で4.34を獲得しています(2016年10月現在)。クチコミ欄では、ゲストの方とホストの方の間で以下のように温かなや
りとりが交わされており、ホテルにはない、民泊ならではの人情味あふれた魅力を感じさ
せてくれます。

 

 

【ゲスト】

「民泊施設を利用したのは今回が初めてでしたが、STAY JAPANのスタッフの方々、ホストの方などの対応が温かく、思い出に残る宿泊が出来ました。また機会があれば利用したいです。」


【ホスト】

「この度はご宿泊いただき、ありがとうございました。楽しい東京旅行はできましたでしょうか?

 

またお渡しした、『オリジナル横浜観光案内』はお役に立ちましたでしょうか?チェックアウト時は、ご挨拶出来ず残念でしたが、良い思い出になるといいですね。その上で、もし幸村荘がお役に立てていたならば幸いです。また、東京へお越しの場合はぜひまたお立ち寄りくださいね!心よりお待ち申し上げております。」

 

 

クチコミ欄を見ていただくとわかるように、普通の宿泊施設とは違った体験ができるとともに、ホストとゲストが心情的にもとても近しい間柄でやりとりできるのが、民泊の大きな特徴です。

 


[図表]唯一無二の体験ができる「サムライハウス幸村壮」

本連載は、2016年12月16日刊行の書籍『民泊ビジネスのリアル』(幻冬舎メディアコンサルティング)から抜粋したものです。その後の法令改正等、最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。

民泊ビジネスのリアル

民泊ビジネスのリアル

三口 聡之介

幻冬舎メディアコンサルティング

世界中で大ブームとなっている「民泊」。日本でも約4万6000件の物件が民泊用のマッチングサイトに登録されています。民泊が広まっている背景にはシェアリング・エコノミーの流行、人口減少による遊休不動産の増加、訪日旅…

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