口元に気を使っている人は稀で、歯科医院に何年も行っていないという人も珍しくない日本。本連載では、「デンタルIQ」を向上させ、見た目で損をしない美しい口元をつくる「デンタルケア」の基礎知識を紹介します。

デンタルメインテナンスを欠かさないエリート国際人

私は、テレビを観ている時などもそこに映るタレントやアスリート、著名人たちの口元をチェックするクセがついてしまっているのですが、そこで、国際的な活躍をしている人たちは総じて歯がきれいで、特に歯並びが整っているということに気付きました。

 

たとえば今や米国のメジャー・リーグで大偉業を成し遂げたイチロー選手は、1日に5回も歯磨きをすると聞いたことがあります。

 

海外を拠点に活躍する人たちの多くは、デンタルメインテナンスを欠かさないといいます。

 

それは、日本人がおろそかにしてきた「歯並びの美しさや歯の白さ」が、国際社会においては高評価を得るための必須条件であるということに気付いているからではないでしょうか。

 

矯正歯科治療はおよそ100年前の米国から始まり、その50年後に日本に入ってきたといわれています。

 

その短い歴史の中でも、矯正歯科治療の装置や技術は格段に進歩しました。今では「矯正歯科治療は痛い」「矯正器具が煩わしくてつらい」「治療期間が長い」というような点はかなり軽減されましたし、日本人のニーズに合わせた治療スタイルもいろいろと登場しています。

 

日本国内でも「矯正歯科治療で美しい歯並びを手に入れたい」と願う人は、老若男女を問わず増えてきたようですが、いまだに矯正について間違った解釈をしているところや過剰な不安をもっている場合があり、そのせいでチャンスをふいにしている人も多いような気がします。

 

そこでこの章では、矯正歯科治療の現状について、実際に矯正歯科治療をした人たちのエピソードもまじえながら紹介していきたいと思います。

手遅れはない、大人になってからも歯の矯正は可能

矯正歯科治療をするタイミングは、長い間「若ければ若いほどいい」と思われてきました。

 

確かに、乳歯が永久歯に生え替わったあとの状態なら、早い時期に治療を始めたほうがメリットが多いということはいえます。成長期の子どもの頃なら顎の成長もコントロールできますし、若い人のほうが歯を移動させやすいなど、若年のうちに矯正歯科治療をスタートさせるといろいろ有利な点があります。

 

しかし、「矯正歯科治療は歳をとったらできない」というものではありません。

 

わが子に矯正歯科治療を受けさせたいお母さんは、最初の問診の時に「将来、歯並びのことで苦労しないように矯正させたい」とよく言います。そして、苦笑しながらつけ加えるのが「私はもう、手遅れですけれど」という言葉です。

 

私はそんな時、心の中で「手遅れということはないのに。お母さんだって、今からでもきれいな歯並びにすることはできるのに……」と思います。実際にそう話すこともありますが、余計なお世話になってしまいそうな場合は、口に出すのは控えます。しかしその度に「もったいないことだ」という思いが募ってきます。

 

自分の歯があり、歯茎が健康で重度な歯周病がなければ、矯正歯科治療は何歳からでも始められるのです。そのことを知らない人が、意外と多いのではないでしょうか。

 

もちろん、20歳代前半までの年齢に比べると、歯を移動させるのに多少は時間を要するかもしれませんが、大人になってから矯正歯科治療をするメリットもたくさんあります。

 

もし、歯並びに悩みや不満を抱えていながら「もうトシだから矯正は無理かも……」と諦めているのでしたら、一度、専門医に相談して診察を受けてみることをおすすめします。

国際人になりたければ英語力より歯を“磨け”

国際人になりたければ英語力より歯を“磨け”

宮島 悠旗

幻冬舎メディアコンサルティング

歯学博士であり、フリーランス矯正歯科専門医として活躍している宮島悠旗氏。両親ともに歯科医師という宮島氏にとって、口元のケアは当然のエチケットとして育てられてきたといいます。しかしながら世間を見渡せば、口元に気を…

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