前回は、住宅会社選び、土地選びを焦ってはならない理由について紹介しました。今回は、銀行や住宅会社が提供する「ライフシミュレーション」の見方などを解説します。

インターネットでも簡単にシミュレーションできるが…

住宅ローンを組むにあたり、最近では銀行や住宅会社が窓口となり、FPによるライフシミュレーションを行うことが多くなっています。ライフシミュレーションとは、10年、20年、30年先にわたって、家族構成や収入・支出をもとに総合的なお金の動きを予測するシミュレーションのことを言います。

 

インターネット上でも条件を入力すればシミュレーションが出来ますから、家づくりや購入を考え始めた段階で自分なりの大まかな見通しを持って臨んでいる人も多いことでしょう。

 

ただ、こうしたライフシミュレーションにも、思わぬ落とし穴が隠れていることがあります。ハウスメーカーなどの主導のもと無料で行っているシミュレーションの中には、「家」を建ててもらうための誘導ツールになっているケースもあるのです。お客様のライフシミュレーションに欠くことのできないFPですが、会社によっては、契約に際して背中を押す役目になっている場合も実は少なくないのです。「大丈夫ですよ」と言わされる役目です。これでは全くライフシミュレーションの意味がないどころか、その結果、早い段階に、高い金額で家を建てられると錯覚してしまうケースも散見され、いささか背伸びをして、無理をしてしまうことにもつながります。

 

よほど金融に長たけた人でない限り、ライフシミュレーション表を目の前にして、その道のプロフェッショナルから饒舌に解説されれば、何も言えなくなってしまうのが普通です。では、本来のライフシミュレーションの役割と正しい見方、使い方とは、どのようなものなのでしょうか。

家計の現状をチェックし、将来を予測して返済額を算出

ライフシミュレーションは、家計の今をチェックし、将来を予測することによって安心して返済出来る金額を導き出すためのものです。また、シミュレーションを通して、総合的なさまざまな問題点とその対策が明確になります。

 

たとえば、仮に子どもが私立大学に進学した場合は年度収支がマイナスになってしまう、住宅ローンが退職後も続くなど、家族ごとのさまざまな問題点が明らかになってくるのです。そのため、あらかじめ、今後想定出来る出費に対して貯蓄や繰り上げ返済といった対策を講じるタイミングも明確になるはずです。

 

自分らしい暮らし方の夢を描く「ライフデザイン」、何年後にどのようなことが想定されるのか、いつお金が必要になるのかを将来にわたって予測する「ライフプラン」、現在の暮らしと将来のライフプランに基づいて長期的な家計収支を見通し、問題点をチェックして対策を立てる「キャッシュフロー・マネジメント」。

 

その3つの項目を総合的にわかりやすく活用するのが、正しいライフシミュレーションと言えるでしょう。

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    本連載は、2017年4月12日刊行の書籍『改訂版「家づくり」は住宅会社選びで9割決まる 』から抜粋したものです。その後の税制改正等、最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。

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    貞松 信人

    幻冬舎メディアコンサルティング

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