同時進行で進めたい住宅会社選びと土地選び
さて、ここでやっかいなのが住宅ローンです。土地と建物を別々に契約する場合、住宅ローンも別途の契約になります。住宅情報誌などでも住宅ローンの特集は毎月のようにありますが、このことはあまり知られていません。
最初の支払日までに必要なローンを提供してくれる金融機関探しは、不動産会社や土地を扱う住宅会社の多くが代行してくれます。それは助かるのですが、期待値が高まる分、「これだけ借りられたから建てられる、購入できる!」とすでに家づくりの半分が終わってしまったかのような錯覚に陥らない冷静さが必要です。
そして、土地の住宅ローンの支払い期日が迫っているからと、家づくりのパートナー選びを冷静に比較検討することなく、住宅会社を慌てて決めてしまうことのないようにもしたいものです。
そうしたことがあるため、基本的には土地探しと住宅会社選びは、同時進行で進めるべきだと思います。もちろん、契約を取りたい不動産会社などは、あの手この手で契約をせかすことでしょう。ただ、それに惑わされる必要はありません。確かに、条件のいい土地には早く手付けを打つべきというのも事実です。そこの兼ね合いは簡単ではありませんが、とにかく必要以上に焦らない。それが鉄則ではないでしょうか。
不動産会社が勧める「建築条件付き」の土地に注意
もう一つ重要な注意点があります。不動産会社も、土地だけでなくできれば建売り住宅を売りたいと思っているところが多いものです。そのため、たとえばお客様が注文住宅を建てるために土地を探していたとしても、建売りを必死に勧める場合があります。そして、どうあっても建売りは勧められないとなると、今度はそのお客様の出し得る資金のどれだけを土地に取れるかという動きをし始めます。
また、建築条件付き、つまりは、この土地に家を建てる場合は特定の会社で建てることを条件としている土地も少なくありません。
そこでもう一歩踏み込んで気をつけるべきことは、「参考プラン」です。これは建築条件とは謳っていなくても、その土地=不動産会社がある特定の住宅会社と提携している証拠なのです。その参考プランの参考価格はなぜか非常に安いのです。
それを見て、「この価格でこの家が建てられるならばこの土地を買えるな」と思ってしまい、追い打ちをかけるように、「建築条件はありませんので、好きなメーカーで家を建ててください」などと言われて契約をしてしまっても、他の会社ではとてもその価格では同じようなプランの建物を建てることは出来ないと後でわかります。そうなってしまったら、その参考プランを出している会社に結局、依頼するしかなくなるわけです。
ある会社の場合、坪当たり5万円の謝礼を不動産会社に払っていると聞きます。30坪であれば150万円です。そもそも考えられないくらいのローコストの価格の家なのに、そこから150万円をいわば紹介料として払っている。一体、どんな部材でどんな家づくりをしているのか心配でなりません。営業マンはいらないビジネス形態ですから、そこでコストを圧縮しているのかもしれませんが、謎です。
不動産会社の手口には、こういうものもあります。最初に条件を提示しても、素直にその条件に合う物件には案内をしません。条件に合わないものから見せていき、疲れて諦めモードに入った辺りで本命を出す。すると、お客様の目が輝く。これを業界用語で「感度が出る」と言うそうです。そこで事務所と電話連絡を取り合って、他の人が買おうとしているという小芝居を打つ。テレビ番組などでも喧伝されている方法ですが、本当にあるのです。早く契約させようという手ですが、こういう手に乗ってはいけません。