前回は、基礎知識として「セミオーダー」と「フルオーダー」の違いを説明しました。今回は、住宅会社の営業マンの信用力を見極める方法をご紹介します。

「なぜ教えてくれなかったの?」を防ぐには…

住宅会社選びにおいて注意したい最初のポイントですが、お客様の要望を聞いて、黙ってその通りにしてくれる住宅会社がはたしていいのでしょうか。それで満足な結果が得られるのでしょうか。

 

必ずしもそうとは限りません。一つのニーズを叶えると、別の不利益を被る。一つの快適を得ると、一つの面倒を抱える、ということもあります。わかりやすい例を挙げましょう。

 

「リビングを2階にしたい」

 

その理由は、一家団欒で楽しく過ごす場所、多くの時間を過ごす場所は明るく、暖かくありたいから。1階よりも、2階の方が、確かに昼間は陽が当たり、その結果、夜になってもより暖かさが残ります。

 

しかし、たとえば夏は暑すぎるとか、生活動線の問題など、デメリットも生まれるのです。それを無視して、呑み込んでしまった方が、契約もスムーズに進みます。こうしたデメリットは住んでみて初めてわかることですから、そのときに初めて、「なぜ教えてくれなかったの?」というクレームが生まれるわけです。

 

お客様との永い付き合いを考えるのであれば、当然、そうした点にも触れていかなくてはいけません。住宅会社は、経験上、さまざまなメリット、デメリットを知り得ているので、プロとして助言すべき立場にあるわけです。

 

お客様はやりたいこと、実現したいことは答えられても、結果もたらされるデメリットまではわからないのが普通です。そこをサポートするのが、住宅会社などのプロであるはずなのです。

 

だからこそ、たとえそれでよりたくさんの時間や手間暇が必要になるとしても、デメリット情報をむしろ先に伝える姿勢が必要になります。ですから、いい話ばかりで、デメリットを語らない営業マンは信用出来ないと考えてください。

こちらの要望にはデメリットばかり強調する場合もNG

ところが、住宅業界は「聞かれていないことには絶対に答えない業界」なのです。ほとんどのお客様は、「何を聞けばいいのかわからない」という状態のはずです。それが当然です。その方々が聞かないから答えないというのは、本来プロの仕事ではありません。

 

しかし、それが基本スタンスなのです。ましてやデメリット情報は決して教えない。なぜか。それを伝えると、検討期間が長くなるからです。しかも、デメリットの打開策を打つとなれば、追加費用が発生します。その結果、契約が遠のきます。それを嫌がるのです。

 

私たちもハウスメーカーの下請け時代はそうでした。お客様にとって必要な情報を必ずしも伝えてはいなかったのです。その「聞いていなかった情報」が、お客様の後悔につながります。

 

「もっと聞くべきだった」「真剣に調べるべきだった」と頭を抱えるわけですが、それはお客様が勉強不足だったとか、真剣ではなかったということではないのです。お客様は素人なのですから、そこをプロが救うべきなのです。

 

もちろん、逆に何か望むと、そのデメリットばかり言いだして、結局、変わったことは何もしたがらない営業マンや住宅会社も考えものです。

本連載は、2017年4月12日刊行の書籍『改訂版「家づくり」は住宅会社選びで9割決まる 』から抜粋したものです。その後の税制改正等、最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。

改訂版「家づくり」は住宅会社選びで9割決まる

改訂版「家づくり」は住宅会社選びで9割決まる

貞松 信人

幻冬舎メディアコンサルティング

人生を左右するほどの大きな買い物である「家づくり」。「家づくり」は購買経験を積むことが出来ないため、何が正しくて、何を基準にすれば良いかわからない、とても難しい買い物です。 あるアンケート調査では、注文住宅を…

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