今回は、健康保険の被扶養者、厚生年金の第3号被保険者になることが得かどうかを説明します。※本連載は、税理士法人恒輝・代表社員で税理士の榎本恵一氏、渡辺人事経営研究所・所長で特定社会保険労務士の渡辺峰男氏、人事戦略研究所・代表で社会保険労務士の吉田幸司氏、YMG林会計グループ・代表で税理士の林充之氏の共著、『知って得する年金・税金・雇用・健康保険の基礎知識 2017年版』(三和書籍)の中から一部を抜粋し、働き盛りの会社員が知っておきたい「税金」の基礎知識について解説します。
被扶養配偶者(第3号被保険者)になる条件とは?
年収が130万円以上見込まれるときは、働く時間が短くても健康保険(厚生年金)で被扶養配偶者(第3号被保険者)になることはできません。
その場合、健康保険・厚生年金適用事業所で一般社員の所定労働時間の3/4以上※1働いていれば健康保険被保険者(厚生年金被保険者)に、そうでなければ国民健康保険(国民年金第1号被保険者)へ加入することになります。
年収が130万円未満でも厚生年金・健康保険適用事業所で一般社員の所定労働時間の3/4以上※1働けば、加入要件を満たしますので、健康保険被保険者(第2号被保険者)となってしまいます。
したがって、健康保険(厚生年金)で被扶養配偶者(国民年金第3号被保険者)になろうと思えば、年収見込額が130万円未満、かつ週一般社員の所定労働時間の3/4未満※1の労働ということになります。
※1・・・社員501人以上の適用事業所の場合、下記の全てに当てはまっている場合、健康保険、厚生年金の被保険者となります。
●雇用期間が1年未満の予定でない・所定労働が週20時間以内
●所定内賃金が月88,000円以上・昼間の学生でない
第2号被保険者になると、受け取れる年金額が増加
健康保険も年金も、被扶養配偶者にならず自ら加入すると、保険料負担はその分増加します。また、健康保険の給付では、私傷病で休んだときの傷病手当がでるかどうかの違いがあるくらいです。
年金給付では、第1号被保険者になった場合も、被扶養配偶者(第3号被保険者)になった場合も老齢基礎年金のみであり、将来受け取る年金給付に差がありません。厚生年金に加入し第2号被保険者になると、老齢基礎年金に加え、将来厚生年金として受け取れる年金額が増加します。
また、万が一障害者になったり、死亡した場合も障害厚生年金や遺族厚生年金を受け取ることもできます。
[図表]フローチャートでわかる 健康保険扶養になる・ならない
税理士法人恒輝 代表社員
株式会社ウィズダムスクール 代表取締役
税理士
ファイナンシャルプランナー
日本人事総研グループ加盟人事コンサルタント
1963年、東京都生まれ。1986年、専修大学商学部会計学科卒業。2000年、産能大学大学院経営情報学研究科経営情報学専攻修了(MBA)。
最近では、企業に対する分かりやすい決算診断の提案と個人に対するライフプランの重要性を説くセミナー活動に情熱を燃やし、起業家の応援を行っている。
著書として『負けない!』(マンガ)、『税務会計論』(共著)、『一般社団法人・財団法人の法務と税務』(共著)、『企業を支える人々へのメッセージ』、『勝経営と三遊亭金時のおもしろ経営塾』(マンガ)、『経営者会計論』(共著)、『税務会計の基礎』(共著)、『経営コーチ入門』(共著)、『その時、会社が動いた』(共著)、『経営コーチ』『ワーク・ライフ・ハピネス』(共著)、『社長、ちょっと待って!! それは労使トラブルになりますよ!』(共著)など。
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渡辺人事経営研究所 所長
特定社会保険労務士
日本人事総研グループ加盟人事コンサルタント
1961年、岡山県生まれ。関西大学商学部商学科卒業。現在、社会保険労務士業に加え、「応援します。良い会社づくり!」をモットーに、人事・労務、財務、金融等の経営に関する幅広い知識で経営計画策定、人事諸制度策定・運用指導などのコンサルティングを行うかたわら、各地で講演活動、研修事業を行う。
著書として『自己責任時代のサバイバルブック』(共著)、『社長、ちょっと待って!! それは労使トラブルになりますよ!』(共著)。
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人事戦略研究所 代表
社会保険労務士
日本人事総研グループ加盟人事コンサルタント
1964年滋賀県生れ。大谷大学文学部社会学科卒業。人事制度の構築、運用、労務管理指導、就業規則等の作成・運用指導、助成金活用指導・手続き代行、社会保険・労働保険の手続き代行、社員研修、能力開発のための個別指導、経営指導、各地での講演活動等を行う。また、滋賀県産業支援プラザ、福井県産業支援センター、各地の商工会議所等の公的機関の登録専門家として地域の中小企業への経営指導にあたっている。
著書として『自己責任時代のサバイバルブック』、『社長、ちょっと待って!! それは労使トラブルになりますよ!』(いずれも共著)。
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YMG林会計グループ 代表
林充之税理士事務所 所長
税理士
1961年、神奈川県生まれ。法政大学経済学部卒業、山梨学院大学大学院公共政策研究科修了。現在、YMG林会計グループ代表として、財務分析を中心にした経営相談を数多く手がける。起業家支援にも力を注いでおり、多くの起業家の「経営コーチ」としての信頼も厚い。また、相続・事業承継においても幅広い相談を資産家の方々の「相続コーチ」として数多くの実績を持ち、経営と資産税の両方のニーズにお応えする幅広いコンサルティングが特徴。講演実績も豊富で判りやすい語り口が好評。
著書として『ときめき会社法』(共著)、『経営コーチ』(共著)、『経営コーチ入門』(共著)『その時、会社が動いた』(共著)、『社長さん今が決断の時です』(共著)、『サラリーマンのための相続トラブル対策』(共著)、月刊税理「この資産にはこの評価」など。
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