今回は、個人型確定拠出年金、付加年金、国民年金基金、小規模企業共済の概要を説明します。※本連載は、税理士法人恒輝・代表社員で税理士の榎本恵一氏、渡辺人事経営研究所・所長で特定社会保険労務士の渡辺峰男氏、人事戦略研究所・代表で社会保険労務士の吉田幸司氏、YMG林会計グループ・代表で税理士の林充之氏の共著、『知って得する年金・税金・雇用・健康保険の基礎知識 2017年版』(三和書籍)の中から一部を抜粋し、働き盛りの会社員が知っておきたい「税金」の基礎知識について解説します。

個人で掛け金を運用する「個人型確定拠出年金」

個人型確定拠出年金は、原則60歳になってから支給されますが、年金の額がどれだけになるのかは本人の選択した資金運用方法によって異なります。

 

また、加入者が国民年金の保険料を滞納したり保険料免除になった場合には、掛け金を拠出できなくなりますので、資金の運用方法を指示するだけになります。その時に、一定の条件に該当すれば掛け金は脱退一時金として受け取ることもできます。

 

確定拠出年金が他の年金等と大きく異なる点は、加入時や加入期間中、年金を受けとる時等には、手数料を支払う必要があることです。ですから、運用方法だけを指示するようになってしまい、運用益が少ないと手数料の方が高くなり持っている資産が減っていくこともあり得ます。

 

それに加えて掛け金の運用は金融機関が指定する金融商品から自分で商品とその商品に投資額を選択します。商品の中には、元本割れを起こさない貯金のようなものもあります。

 

逆に元本割れリスクが高い代わりに高い利率が見込まれる商品も用意されています。まさに自己責任で老後の備えを準備することになります。

 

なお、個人型確定拠出年金の加入者が、企業の確定拠出年金に加入した場合は、積立てた資産をそのまま企業の確定拠出年金に移すことができます。

 

[図表1]個人型確定拠出年金の掛け金限度額(2017年1月から)

 

企業型確定拠出年金に加入している人が、個人型確定拠出年金に加入するには、企業型確定拠出年金の規則で、個人型確定拠出年金の加入を認めている場合に限ります。

国民年金に上乗せして納付する「付加年金」

付加年金は国民年金の保険料と同時に400円を上乗せして納付します。ですから、国民年金の保険料を納付している人しか加入できません。給付は国民年金の給付に200円を上乗せして行われます。

 

付加年金を1年掛けた場合の概算

 

掛け金(年間)=400円×12カ月=4,800円

給付額(年間)=200円×12カ月=2,400円

 

一見すると掛け金の半分しか給付されないように見えますが、付加年金は国民年金が支給されている間中支給され続けますので、2年をこえて国民年金を給付されると元本を超えて支給されます。

加入年齢等によって掛け金が変わる「国民年金基金」

国民年金基金は、国民年金第1号被保険者(60歳以上65歳未満の国民年金任意加入の人も含む)が加入できます。加入する年齢や性別、給付時に欲しい金額によって毎月の掛け金が異なります。

 

掛け金の種類はいくつものパターンがあります。

 

[図表2]男性基本B型のみ(最も掛け金が少ないタイプ)の場合

65歳を過ぎても掛け金を納付できる「小規模企業共済」

小規模企業共済は、小規模事業主だけが加入できます。事業主向けの共済制度なので、他の3つとは異なり、老齢による給付の他にも事業の廃止の場合にも給付金が支給されます。

 

また、老齢給付の対象年齢である65歳を過ぎても掛け金を納めることができます。共済から事業資金などを借りることもできます。

 

[図表3]小規模企業共済を毎月1万円掛けた場合の給付概算

 

小規模企業共済は、一括で給付を受けることもできますし、条件によっては分割で給付を受けることもできます。

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