本連載は、税理士法人恒輝・代表社員で税理士の榎本恵一氏、渡辺人事経営研究所・所長で特定社会保険労務士の渡辺峰男氏、人事戦略研究所・代表で社会保険労務士の吉田幸司氏、YMG林会計グループ・代表で税理士の林充之氏の共著、『知って得する年金・税金・雇用・健康保険の基礎知識 2017年版』(三和書籍)の中から一部を抜粋し、働き盛りの会社員が知っておきたい「税金」の基礎知識について解説します。
節税にも繋がる「確定拠出年金」などの公的制度の利用
資産形成というと、民間の金融商品を思い出しがちですが、法律で国が運営方法や運営機関を決めた、いわば公的な老後の備えのための制度があります。これらは、国が何らかの形で運営に関わっていますから、国が破産でもしない限り安全だといえます。
ただし、国の制度ですから、法律が変わってしまえばそれまでです。国の制度を信用しても構わないと考える人は、これらの制度を利用するのも一つの方法です。
公的な老後の備えは、民間のものと違っていくつか制限がありますが、共通しているのは、掛け金分だけ所得税の計算のときに所得から控除できるという点です。その他の部分は利率を含めて制度それぞれで違いがありますから、注意が必要です。
特に個人型確定拠出年金は、企業型の確定拠出年金との関係や、国民年金基金との関係で掛け金額の上限が低くなったり、場合によっては加入できないケースもあります。
「公的な老後の備え」は国民年金だけではない
国民年金の加入者向けの公的な制度は複数あるのに対して、厚生年金の加入者向けの制度は個人型確定拠出年金しかないことに気付かれたでしょうか。これは、国民年金の加入者には老後の年金として基礎年金しかないのに対して、厚生年金の加入者には基礎年金の他に厚生年金があるからなのです。
また、厚生年金加入者は会社に雇われている人が対象ですから、会社が企業年金や企業型確定拠出年金等の制度に独自に加入していることも多く、国民年金だけの人が老後の備えの点で不利にならないように考えられているのです。
自営業を営んでおられる人から「私は国民年金しか加入できなかったから年金は少ししか貰えない。サラリーマンが羨ましい」と嘆きを聞くことがありますが、そんなことはありません。国民年金の加入者も老後に備えるための制度があるのです。よく勉強して自分のライフスタイルに合った老後の備えをしてください。
[図表]公的な老後の備え
税理士法人恒輝 代表社員
株式会社ウィズダムスクール 代表取締役
税理士
ファイナンシャルプランナー
日本人事総研グループ加盟人事コンサルタント
1963年、東京都生まれ。1986年、専修大学商学部会計学科卒業。2000年、産能大学大学院経営情報学研究科経営情報学専攻修了(MBA)。
最近では、企業に対する分かりやすい決算診断の提案と個人に対するライフプランの重要性を説くセミナー活動に情熱を燃やし、起業家の応援を行っている。
著書として『負けない!』(マンガ)、『税務会計論』(共著)、『一般社団法人・財団法人の法務と税務』(共著)、『企業を支える人々へのメッセージ』、『勝経営と三遊亭金時のおもしろ経営塾』(マンガ)、『経営者会計論』(共著)、『税務会計の基礎』(共著)、『経営コーチ入門』(共著)、『その時、会社が動いた』(共著)、『経営コーチ』『ワーク・ライフ・ハピネス』(共著)、『社長、ちょっと待って!! それは労使トラブルになりますよ!』(共著)など。
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渡辺人事経営研究所 所長
特定社会保険労務士
日本人事総研グループ加盟人事コンサルタント
1961年、岡山県生まれ。関西大学商学部商学科卒業。現在、社会保険労務士業に加え、「応援します。良い会社づくり!」をモットーに、人事・労務、財務、金融等の経営に関する幅広い知識で経営計画策定、人事諸制度策定・運用指導などのコンサルティングを行うかたわら、各地で講演活動、研修事業を行う。
著書として『自己責任時代のサバイバルブック』(共著)、『社長、ちょっと待って!! それは労使トラブルになりますよ!』(共著)。
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人事戦略研究所 代表
社会保険労務士
日本人事総研グループ加盟人事コンサルタント
1964年滋賀県生れ。大谷大学文学部社会学科卒業。人事制度の構築、運用、労務管理指導、就業規則等の作成・運用指導、助成金活用指導・手続き代行、社会保険・労働保険の手続き代行、社員研修、能力開発のための個別指導、経営指導、各地での講演活動等を行う。また、滋賀県産業支援プラザ、福井県産業支援センター、各地の商工会議所等の公的機関の登録専門家として地域の中小企業への経営指導にあたっている。
著書として『自己責任時代のサバイバルブック』、『社長、ちょっと待って!! それは労使トラブルになりますよ!』(いずれも共著)。
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YMG林会計グループ 代表
林充之税理士事務所 所長
税理士
1961年、神奈川県生まれ。法政大学経済学部卒業、山梨学院大学大学院公共政策研究科修了。現在、YMG林会計グループ代表として、財務分析を中心にした経営相談を数多く手がける。起業家支援にも力を注いでおり、多くの起業家の「経営コーチ」としての信頼も厚い。また、相続・事業承継においても幅広い相談を資産家の方々の「相続コーチ」として数多くの実績を持ち、経営と資産税の両方のニーズにお応えする幅広いコンサルティングが特徴。講演実績も豊富で判りやすい語り口が好評。
著書として『ときめき会社法』(共著)、『経営コーチ』(共著)、『経営コーチ入門』(共著)『その時、会社が動いた』(共著)、『社長さん今が決断の時です』(共著)、『サラリーマンのための相続トラブル対策』(共著)、月刊税理「この資産にはこの評価」など。
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