「地盤沈下」で倉庫内に急傾斜ができた食品メーカーの例

前回は、工場の「わずかな床の傾き」による思わぬ悪影響について具体的に紹介しました。今回は、「地盤沈下」で倉庫内に急斜面ができた食品メーカーの例を見ていきます。

水田だった区域を埋め立てて造成したが・・・

●CASE2 壁際5メートルの範囲が使えずに、倉庫としての収納力が激減

(食品メーカー・B社・倉庫)

 

関東北部の工業団地内にある、食品メーカーの倉庫は沈下によって空間が失われる顕著な例でした。

 

その工業団地は、もともとは水田だった区域を埋め立てて造成されたため、地盤が弱かったのです。工場内の倉庫でしたが、建てて間もない頃から沈下が始まり、修正工事を始めた時点で床面は最大で150ミリも下がっているような状態でした。

 

しかも、広い倉庫の床面全体が、マイナス150ミリの最大沈下ポイントまで緩やかに下がっているわけではありません。沈下箇所では床面全体がほとんどべったりと下がってしまい、壁際から5メートルほどの範囲が急傾斜になっていたのです。

 

5メートルの距離で150ミリ下がっているのですから、人が明らかに「坂」だと感じる傾斜です。

地盤沈下で倉庫の収納力は半減・・・出荷にも影響が

工場で製造しているのは瓶入りの飲料でした。ある程度の本数をまとめて段ボールに詰めて出荷するのですが、液体ですから、それなりに重さもあります。傾斜した部分に積むと、一方に片寄った荷重がかかるために段ボールが潰れ、変形してしまいます。さらに高く積むと崩れ、瓶が割れてしまう危険性もあるのです。

 

そのため、倉庫は周囲5メートル範囲が使用禁止になっていました。中央部分しか使うことができませんから、収納力はほぼ半減。工場の生産・出荷能力にまで影響が出たと聞きましたが、それも当然といえば当然と言えそうです。修正の結果、倉庫はもとどおりの収納力を取り戻し、工場の生産・出荷も回復したのはもちろんです。

アップコン株式会社 代表取締役

1985年 武蔵工業大学(現 東京都市大学)建築学科卒業。
1988年 プラット・インスティテュート大学院(ニューヨーク)インテリアデザイン学科卒業。
1989年 オーストラリア・シドニーの大手建築設計事務所に勤務。日本担当部長として新規事業開拓を手がける。
1998年 設計施工一貫請負の会社をシドニーに設立。
2000年 特殊樹脂を使用する地盤沈下修正工法を知り、工法を習得。
2001年 同工法を用いた外資系土木会社の日本法人を設立。代表として、九州で事業を展開。
2003年 4月 独自に研究を重ね、ノンフロン材を用いた小型機械による新工法「アップコン」を考案開発。6月 アップコン有限会社(現 アップコン株式会社)を設立。代表取締役に就任、現在に至る。
2006年 EOY JAPAN 2006 ファイナリスト
2009年 ASPA Awards 2009 Excellence Prize 受賞
2012年 かながわビジネスオーディション2012 審査委員特別賞受賞、低CO2川崎パイロットブランド'11 受賞
2014年 奨励賞受賞(川崎市制90 周年記念表彰)

「夢の扉 ~NEXT DOOR~」(TBS テレビ)、「FNN スーパーニュース」(フジテレビ)、「ホンマでっか!? TV」(フジテレビ)など各種メディアにも多く取り上げられる。

著者紹介

連載事業の傾きを招く!? 工場・倉庫の「傾いた床」の問題

本連載は、2016年11月25日刊行の書籍『改訂版 不良品が多い工場の原因は地盤が9割』から抜粋したものです。その後の税制改正等、最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。

改訂版 不良品が多い工場の原因は地盤が9 割

改訂版 不良品が多い工場の原因は地盤が9 割

松藤 展和

幻冬舎メディアコンサルティング

4年前出版し関係者の間で話題沸騰したあの書籍が、「傾いた床」による様々なリスクを追加収録し、 【改訂版】としてパワーアップして帰ってきた! たった0.6度の床の傾きで、業務も傾く! 日本の建物の9割が地盤に起因…

メルマガ会員限定記事をお読みいただける他、新着記事の一覧をメールで配信。カメハメハ倶楽部主催の各種セミナー案内等、知的武装をし、行動するための情報を厳選してお届けします。

登録していただいた方の中から
毎日抽選で1名様に人気書籍をプレゼント!
会員向けセミナーの一覧