水田だった区域を埋め立てて造成したが・・・
●CASE2 壁際5メートルの範囲が使えずに、倉庫としての収納力が激減
(食品メーカー・B社・倉庫)
関東北部の工業団地内にある、食品メーカーの倉庫は沈下によって空間が失われる顕著な例でした。
その工業団地は、もともとは水田だった区域を埋め立てて造成されたため、地盤が弱かったのです。工場内の倉庫でしたが、建てて間もない頃から沈下が始まり、修正工事を始めた時点で床面は最大で150ミリも下がっているような状態でした。
しかも、広い倉庫の床面全体が、マイナス150ミリの最大沈下ポイントまで緩やかに下がっているわけではありません。沈下箇所では床面全体がほとんどべったりと下がってしまい、壁際から5メートルほどの範囲が急傾斜になっていたのです。
5メートルの距離で150ミリ下がっているのですから、人が明らかに「坂」だと感じる傾斜です。
地盤沈下で倉庫の収納力は半減・・・出荷にも影響が
工場で製造しているのは瓶入りの飲料でした。ある程度の本数をまとめて段ボールに詰めて出荷するのですが、液体ですから、それなりに重さもあります。傾斜した部分に積むと、一方に片寄った荷重がかかるために段ボールが潰れ、変形してしまいます。さらに高く積むと崩れ、瓶が割れてしまう危険性もあるのです。
そのため、倉庫は周囲5メートル範囲が使用禁止になっていました。中央部分しか使うことができませんから、収納力はほぼ半減。工場の生産・出荷能力にまで影響が出たと聞きましたが、それも当然といえば当然と言えそうです。修正の結果、倉庫はもとどおりの収納力を取り戻し、工場の生産・出荷も回復したのはもちろんです。