今回は、老後の生活設計を専門家へ相談する前の準備事項について見ていきます。※本連載では、CFP(サーティファイド ファイナンシャル プランナー)髙橋佳良子氏の著書『2択クイズでまるわかり! あとあとモメない「終活」はどっち?』(すばる舎)の中から一部を抜粋し、老後の生活設計と資産管理を中心に「お金終活」をどのように進めるべきか、その基本を解説します。

不安に感じていることをノートに書き出す

ファイナンシャルプランナーとして、日々お金に関する相談を受けるなかで、いきなり「私の老後は大丈夫でしょうか……」という相談をされる方がいます。

 

筆者は占い師や霊能者ではないので、目の前に座った方の未来について、生年月日を聞いただけで、すべてお見通しというわけにはいきません。

 

プロとしては、相談者の悩みに答えるために「不安の根源」を探し出し、それを取り除くお手伝いをしなければなりません。相談する側が、自分が置かれている状況をよく理解しており、それなりに知識を持っていれば、やりとりはよりスムーズで深いものとなります。

 

私がオススメしているのは、専門家に老後の生活設計について相談する前に、自分の置かれている状況や、不安に感じていることを、ノートに書き出しておくことです。書き出すことで頭の中が整理され、「何を聞きたいのか」が明確になります

 

専門家と会えたものの、雑談が盛り上がって話が横道にそれてしまい、結局、聞きたかったことが聞けなかった、というケースがよくあるのです。あらかじめ悩みをノートに書き出しておいて、それを参照しながら聞いたことをメモしていけば、解決策一目瞭然です。「そういえば、あれを聞きにきたんだった……」と後悔することもなくなるでしょう。

 

反対に、あやふやな状態で相談に行くと、悪い相手に当たってしまった場合、絶好のカモになってしまいますので、気をつけなければなりません。

相談者を「カモ」と見なしている専門家もいる!?

たとえば、保険会社の営業マンに「60歳くらいで病気になったときに、必要な入院費をカバーできる医療保険に入りたい」と相談したとします。

 

そんなとき、営業マンに「60歳を過ぎると保険料が高くなるので、いまのうちに加入しておきましょう! ついでに、将来必要となる葬儀費用をカバーできる死亡保険にも入りましょう。いまが保険に入るラストチャンスですよ!」などと畳みかけられると、つい納得してしまうのです。

 

言いくるめられた結果、入院給付金が入院1日あたり5000円給付され、亡くなったら300万円を受け取れる保険に入ってしまい、月々の支払いが3万円を超えてしまったという方がいます。医療保険だけで良かったのに、死亡保険にも加入したことで、保険料が非常に高額になってしまったのです。

 

また、「老後にかかるお金が不安。低金利では預金が増えないのでなんとかしたい!」という漠然とした悩みを抱えたまま、銀行に駆け込んだ方は、誠実そうな担当者に「投資信託というものがあり、比較的安定して運用できるので、購入してみませんか?」と誘われ、思わず投資してしまうことがあります。

 

ところが、後に現金が必要になって解約を申し出たところ、投資信託は元本割れを起こしており、解約すると相当な損失を被ってしまうことがわかりました。加入を勧めてきた誠実そうな担当者に聞きたいと思っても、いつの間にか他の支店に転勤になっていたのです。

 

このように、相談者をカモと見なしている専門家のペースに乗せられて、不本意な結果になってしまわないように、事前に「自分は何が不安なのか」、「どうなったら満足なのか」を、紙に書き出して検討しておいてから、専門家に会いに行くことをオススメします。

本連載は、2017年3月刊行の書籍『2択クイズでまるわかり! あとあとモメない「終活」はどっち? 』から抜粋したものです。稀にその後の法律、税制改正等、一部最新の内容には対応していない場合もございますので、あらかじめご了承ください。

2択クイズでまるわかり! あとあと モメない「終活」はどっち?

2択クイズでまるわかり! あとあと モメない「終活」はどっち?

髙橋 佳良子

すばる舎

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