運転者や運転環境によって細かく条件を設定
自動車保険は、事故相手と自分の損害を補償してくれるもので、強制的に加入させられる「自賠責保険」と、自分で加入する「任意保険」で構成されています。
この自動車保険、最近では「リスク細分型」という仕組みが採用されており、運転者や運転環境によって細かく条件を設定し、事故率が低い人と高い人を振り分けて保険料を決めるのです。
テレビの自動車保険のコマーシャルで「お客様の年間走行距離は何キロくらいですか?」、「お客様はゴールド免許ですか?」などとオペレーターが質問している様子を観たことがあると思いますが、まさにあのような行程で保険料が決まるのです。
また、「家族限定」や「夫婦限定」の保険も、よくご存じだと思います。
運転者を家族や夫婦に限定することで保険料を安く抑えられるものです。運転免許を取ったばかりの18歳の子どもを運転者に加えたことで、保険料が急に増額してびっくりされる方もいます。
これは統計上、若者ほど事故率が高いため、若い運転者が加わると保険料が高くなる仕組みだからです。反対に運転者が年齢を重ねるほど、車もコンパクトになり、冷静で無理をしない運転になっていくので、ある時点までは保険料も下がっていきます。
高齢者のドライバーによる事故も増加傾向
では、年齢が上がれば上がるほど良いのかといえば、そんなことはありません。
一定の年齢を超えると、今度は一般に判断能力が落ち、距離感をつかむ能力や視力も衰え始め、運転に支障をきたすようになります。近年は高齢者のドライバーが増えており、加齢に伴う事故も増加傾向にあります。たとえば、高速道路の入口で立ち往生したり、道路を逆走したり、アクセルとブレーキを間違えて、急発進してしまったり、といった事故です。痛ましいことに、運転者よりもずっと若い人が犠牲になる死亡事故も増えています。
そこで、2011年4月から大手損害保険各社が年齢区分を細分化し、60歳以上の保険料を大幅に値上げしました。それまでは「35歳以上」と一括りだった区分を、「30歳以上40歳未満」、「40歳以上50歳未満」、「50歳以上60歳未満」、「60歳以上70歳未満」、「70歳以上」と10歳ごとに区切り、60歳未満に近づくほど保険料を安くし、それ以降は高額にしたのです。
このような背景から、高額になってしまった高齢者の自動車保険ですが、高くなってしまった保険料を抑えるために、できることがいくつかあります。
●「車の使用目的」から通勤・業務などを外し、レジャーなどに限定する
●年間走行距離を減らして「距離区分」を下げる
●事故時の損害額の一部を自己負担することにして保険料を抑える
●自分が負傷、死亡した際の補償内容を下げて保険料を抑える
●30歳以上の子どもがいれば、「記名被保険者」を子どもに変更する
●複数の自動車保険を比較検討して、自分に合った保険会社を見つける
もっとも、こうして保険料を安く抑えたとしても、いつかは能力に限界が訪れます。車がないと買いものや移動に困ってしまう地域に住んでいる方も多いと思いますが、取り返しがつかないような事故が起きてからでは遅いのです。あらかじめ家族とよく相談して、何歳で免許を返納するか決めておくと良いでしょう。