ネットショッピング、電子マネーも使いこなす高齢者
総務省統計局が発表した2016年のデータによると、日本全体の人口に占める高齢者の割合は、なんと27.3%となり、これは主要国のなかでもぶっちぎり1位の数値です。
また、2014年までのデータをまとめた『労働力調査』(総務省統計局)によれば、働いている高齢者の人口は2003年から11年連続で増加、15歳以上の労働者に占める高齢者の割合も10.7%と過去最高を更新し、働いている10人にひとりが65歳以上という時代になりました。さらに驚くべきことに、妻が高齢者の共働き世代も、12年間で2.8倍に増加しているのです。
この高齢者世帯がどんな生活を送っているのかというと、2015年に総務省が発表した『高齢社会白書』によれば、高齢者世帯は常に健康に気を配り、旅行などの趣味を楽しんでおり、一世帯あたりおよそ2500万円の貯蓄現在高があるとのことです。
また、若い世代のものと考えられてきたネットショッピングの利用も、2015年までの12年間で5倍に増加しており、なかでも、医薬品と健康食品関連の利用が多いそうです。さらに、大手スーパーでの採用の影響か、高齢者世帯の3割は電子マネーを使いこなしている、というデータもあります。
このように、高齢者の生活様式は大きく様変わりしています。消費が活発になったことによって、どうしてもお金がかかる生活になっているので、退職後は年金収入に頼らざるを得ない高齢者にとっては、毎月の家計管理が必要不可欠です。
もちろん、退職後の世帯には、退職金やこれまで貯めた預貯金、相続で引き継いだ財産などが残っています。それらを、近い将来に使うための財産、万が一のためにとっておく財産、子どもたちに残すための財産、と色分けをして管理しなければならないのです。
どちらかが先に亡くなったり、認知症の症状が進めば…
それなのに、夫婦で暮らしている方のなかには、妻か夫のどちらかが一手に家計管理を引き受けていたり、お互いがどこに、どんな形で財産を預けているのかを知らないという人が多いようです。
「そんなことは、いつでも聞ける」と思うかもしれませんが、パートナーが先に亡くなってしまったり、認知症の症状が進んだりすれば、知る術はなくなります。
株式や投資信託などで資産が分散しているケースがもっとも深刻です。興味のない人にとっては、利益が出ているのか、損をしているのかすらわからないのですから、金融機関の言いなりになるしかありません。
入院後に亡くなった場合でも、どんな保険に加入していたかがわからなければ、請求もままなりません。生命保険の場合、時効は3年間です。それを過ぎれば、せっかく保険料を払ってきた努力が水の泡になってしまいます。
ですから、なかには「口を開けば喧嘩ばかり」というご夫婦もいらっしゃるかもしれませんが、お金やこれからの人生についてだけは話し合っておかなければいけません。せっかく、ここまで人生をともに歩んできたのですから、喧嘩をしながらでも、一緒にお金のことについて考えてみましょう。そのほうが、認知症の予防にもなって良いかもしれませんよ!