前回は、外国人誘致の手段として「口コミ」の活用が注目される理由を取り上げました。今回は、留学生ボランティアの活用による「口コミ」情報発信の成功例について見ていきます。

SNSや個人ブログの威力は絶大

外国人旅行者を呼び寄せる際に、口コミの持つ力は絶大です。旅行のパンフレットを読むより、友人の「あの旅行先、ものすごく楽しかったよ!」というひと言の方が気分を高めることは、皆さんにもおわかりいただけるでしょう。また、SNSや個人ブログで観光地の美しい風景写真を見て、旅行へのモチベーションが上がるケースも多いものです。

 

旅行者が現地で実際に体験したことや、そこで撮った写真などをSNS上で発信する仕組みをつくれば、観光地の魅力をさらに高めることができるはずです。その一例として、私たちの会社が手掛けた「留学生ボランティアによる口コミ発信」を取り上げてみましょう。

留学生ボランティアを活用した口コミ発信プロジェクト

このプロジェクトは、中部地域を中心とした観光事業の1つで、実施期間は、2015年8月から2016年3月まででした。事業の中心となったのは国土交通省中部運輸局と中部国際空港利用促進協議会で、私の会社は情報発信の事務局役を務めました。

 

プロジェクトの目的は、インバウンド客を増やすことにありました。そこで私たちは、FacebookやInstagramといったSNSで外国人の視点に立った情報発信を実施するプランを立てました。そこで多くの「いいね!」を獲得し、口コミによる中部地方の認知度向上とイメージアップを目指したのです。

 

情報発信を担う外国人レポーターに選んだのは、留学生ボランティアでした。学生は社会人に比べて時間的な余裕がありますし、日本の文化に関心を持ち、頻繁に旅行する人が多いのです。

 

また、私の会社は翻訳の仕事を長年手掛けてきたことから、在日外国人留学生の間に強いネットワークを持っています。そのつながりを生かせば、英語で旅行情報を発信する学生をうまく確保できるのです。

 

次回は、口コミ発信プロジェクトについて具体的な進め方を説明していきます。

 

【図表1】プロジェクト実施の流れ

 

【図表2】SNSの記事で口コミを拡散する

外国人リピーターを確実に増やす インバウンドコミュニケーション 成功の秘訣

外国人リピーターを確実に増やす インバウンドコミュニケーション 成功の秘訣

加藤 啓介

幻冬舎メディアコンサルティング

訪日外国人の急増によって、インバウンド施策は盛り上がりを見せています。2015年1-9月の訪日外客数は1,448万人、すでに2014年1年間の訪日外客数1,340万人を上回っています。 しかし、今後円高や中国株安によって、今までのよ…

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