機能不全を来たしている現行の固定資産税の評価方法
『固定資産税の暴走を止めろ!』を出版して7年が経った今、怪しい税金として一般認識され始めた固定資産税は、二度の評価替えを経て、これまでとはまた違った姿を見せ始めています。
捉えどころのない姿とでも言えばいいのでしょうか、捕まえようとするとスルリと手をすり抜け、それでいて、そこに間違いなく立ちはだかっている不気味な姿です。だれもがきちんとした姿を把握することの難しいものです。
今までの固定資産税問題は、税制そのものについての問題が大きな割合を占めていました。私自身、欠陥のある税制という思いを強く抱いていて、そこをさまざまな機会に訴えてきました。
それが今は、税制の施行方法や施行者側の姿勢に、問題そのものが移行し始めてきているのです。
固定資産税の税制の施行方法の問題というのは、固定資産税の評価方法が問題だらけであるということです。現行の固定資産税の評価方法は賦課課税方式になっていますが、これが修正に修正を加え、機能不全というところにまで行き着いているのです。
また、施行者側の姿勢の問題というのは、役所が評価について重要視していないのではないか、真剣に向き合っていないのではないかということです。つまり、ミスばかりを繰り返す役所のその姿勢にこそ問題があるということです。
税額の内容をチェックできる縦覧制度はあるが・・・
固定資産税は、課税者側が納税者の意見を聞いたりすることなく勝手に課税する賦課課税によるため、納税者は納税通知書が手元に届き、それを開いて見てみないと具体的な内容を知ることができません。
そして、ほとんどの納税者は、通知書に書かれている税額に従って、その金額を税金として納めているというのが現状です。
一応、税額や通知書に記載されている内容をチェックする縦覧制度というものはあるものの、気の利いた制度でないため、積極的に活用する納税者はほとんどいないのです。それに残念なことに、この制度は、結局、納税者の不満を聞いてやろうといった程度のものなので、結果に多くのものを期待することができません。
そのような背景もあって、相変わらず固定資産税に関心を寄せる納税者は少ないままです。まるで、役所は納税者の頭から固定資産税という言葉や概念が忘れ去られるのを待っているかのようです。
固定資産税の理不尽さや役所の無関心ぶりは、7年前に上梓した『固定資産税の暴走を止めろ!』の中でも、多くのページを割いて訴えています。
しかし、今また、この機会を失して、固定資産税の行方を見失うようなことがあってはならないと思うのです。今度こそ、その尻尾を捕まえて放さないようにし、その本性を白日の下に晒さなければなりません。