2009~2011年の3年間で、39万件もの課税ミスが…
2017年現在、役所の長年の評価ミスなどを原因とする固定資産税の過大徴収事件は、日本全国に及んでいます。
総務省の調査によると、2009~2011年の3年間では、じつに39万件もの課税ミスがあり、その7割が税金の取り過ぎだったということです。そして、2017年現在に及んでも、事態は改善されるどころかますますひどくなってきています。
[図表]納税義務者総数に占める修正者数割合
もともと納税者自身が、送られてきた固定資産税の納税通知書について、その内容を確認しようと役所に足を運ぶことは稀でした。しかも、固定資産税の納税通知書はわかりにくく表記されていて、説明なしで理解するのが難しいものとなっています。
納税通知書に添えられている課税明細書には、さまざまな情報が盛り込まれていますが、その見方やチェックの仕方などが案内されていません。通り一遍の表記はあるものの、逆にわざと理解しづらい内容にしてあると思われるほどです。
不親切と思う以上に、そこに何らかの思惑があるように感じてしまいます。
調査に乗り出した自治体 多くの課税ミスが明らかに
ここにきて、過大徴収の原因が役所の課税ミスにあるということが広く知れわたるようになり、やっと納税通知書をきちんと確認しようとする納税者が増えてきました。
納税者のこうした意識の高まりを受けて、表に出てくる課税ミスの件数は逆に増えてきています。公にされた課税ミスは氷山の一角で、いかに隠された課税ミスが多いかということです。課税ミスではなく、意図的な課税ではないかと思えるくらいです。
課税ミスをメディアで暴露されてしまった自治体は、仕方なく特別の評価チームを編成したりして全件調査に取り組むようになりました。結果、驚くほどの数の課税ミスがあったことが報告されています。
もともと、本気で全件調査をしようと思えばできるのです。役所は、なぜ、今まで「資産評価を毎年実施するのは業務上不可能」などと、もっともらしい言い訳をしようとしたのでしょう。
もし、費用対効果の面から無理があるというのなら、1年に1度くらいしか泥棒が入らないので毎日は警備員を置かないというようなもので、その論理は破綻しています。3年に1度の評価替えというのも、あくまで課税者側の都合で行ってきたということは明白です。