多様な資金ニーズに対応 ソーシャルレンディングの活用事例

今回は、多様な資金ニーズに対応するソーシャルレンディングの活用事例を見ていきます。本連載では、ソーシャルレンディングに特化した国内唯一の専門メディア「クラウドポート」代表取締役の藤田雄一郎氏と共同創業者の柴田陽氏が、急成長するソーシャルレンディングの最新事情をご紹介します。今回は、そもそもソーシャルレンディングとは何なのかを解説していきます。

返済の確実性が高いのに、銀行等からの借入れが困難・・・

ソーシャルレンディング事業者は独自の運営ノウハウを駆使することで、銀行が手を出しにくい領域を手がけることもあります。具体的な例で解説します。

 

<例:再生可能エネルギー発電所開発プロジェクト>

例えば、再生エネルギー事業を営む会社が太陽光発電所の建設を検討しているとしましょう。

 

発電所を建設するためには、事前に多額の建設用資金が必要となりますが、発電所が出来上がっていない段階で、銀行から融資を受けるのは困難です。なぜなら、銀行の審査では、「発電前の土地」「発電設備」「売電のライセンス」などを全て別のものとして審査しますが、それらを単体で見た場合にはそれほど担保価値は高くありません。また、無事に発電所が竣工できる保証もなく、銀行からすると、とてもリスクが高い案件に思えるのです。

 

一方、太陽光発電に関するファンドを取り扱うソーシャルレンディング事業者は、自社で発電事業を運営するノウハウを持っている場合がほとんどです。最悪、融資先が貸し倒れた場合には担保として差押えた発電所の運営権利を行使することで、自社で発電事業を運営することができます。

 

また、太陽光発電所は無事完工さえすれば、固定価格買取制度により安定したキャッシュフローが見込めます。運営ノウハウがあるソーシャルレンディング事業者にとってみれば「発電前の土地」「発電設備」「売電のライセンス」はバラバラに評価するのではなく、それらを合わせて担保価値のある資産と見なすことができるのです。これは、まさに第2回目の連載で紹介した「返済の確実性は高いが、既存金融機関からの借入れが困難な案件」の代表的な例です。

 

再生エネルギー事業会社にとっては発電所開発を行うための建設資金を事前に調達することができ、ソーシャルレンディング事業者にとっても高い貸出金利で融資する機会を得られるため、まさにWinWinのモデルとなっています。

銀行との協調融資に成功した事例

<協調融資の例:メザニンローン>

このように見ると、銀行から融資を受けることができる企業とソーシャルレンディング事業者から融資を受ける企業は異なるように思えます。しかし、最近は、銀行とソーシャルレンディング事業者が協調融資をする事例も出てきています。

 

不動産のリノベーション・再生に強みを持つ事業者を例として解説します。このような事業者は比較的古いビルを取得し、リノベーションすることで不動産の価値を上げ、費用+αの価格で売却することで利益を得ます。

 

この事業者は不動産売却までに、古いビルの取得費用とリノベーション費用が必要となります。しかし、通常、銀行からは不動産取得に必要な金額の70%程の融資しか受けることができません。例えば、10億円の不動産を取得しようとした場合、7億円の融資までは銀行から受けることができるものの、残り3億円を他で工面する必要が出てきます。

 

これまでであれば、この3億円は自己資金などにより賄わざるを得ませんでした。しかしながら、ソーシャルレンディングを活用することで、このうち2億円を工面することができ、不動産事業者は残り1億円の自己資金を工面するだけで済むようになるのです。

 

このような協調融資の場合、ソーシャルレンディングは対象物件に対して第2抵当権を設定します。もし債務者の返済が滞れば、第1抵当権者である銀行が権利行使した後に残った分の権利を行使することで、投資元本の回収を図ります。

 

資金を調達する不動産事業者側からすると、ソーシャルレンディングの金利は一見高いように見えるのですが、銀行からの調達額と合計して平均すると、全体としては十分採算が合う水準になります。

 

上記の例で言うと、銀行の融資金利(例:2%)とソーシャルレンディングの融資金利(例:13%)を平均すると、平均金利が4.4パーセントとなり、不動産事業者としてもしっかりと利益を見込むことができます。

貸倒れリスクを最小限に抑えるには「分散投資」が有効

ここまで、ソーシャルレンディングは利回りも保全性も高いと述べてきました。しかし、金融商品である以上、ソーシャルレンディングにも当然リスクはあります。結果的に、借り手が返済不能な状況に陥った場合や運営事業者自体が倒産した場合には、投資元本が戻ってこないこともあります。

 

では、ソーシャルレンディングのリスクを最小限に抑えるためにはどうすれば良いのでしょうか。そのためには「分散投資」が非常に重要となります。

 

例えば、合計で100万円の予算があり、その100万円を全額1つのファンドに投資したとしましょう。その場合、万一、該当のファンドで貸倒れが発生すると、元本の100万円すべてを失ってしまう可能性があります。

 

一方、100万円を合計10ファンドに10万円ずつ分散投資していた場合は、そのうち1ファンドが返済不能になったとしても、最大で10万円しか毀損しません。このように分散投資はリスクを抑える方法として有効です。

 

将来的には、リーマンショックの時のように不動産市場全体が大暴落するような状況も無いとは言い切れません。そのような時に備えて、ファンドのテーマを複数に分散することも重要です。ソーシャルレンディングには、不動産以外にも再生可能エネルギー、海外個人向けローン、売掛債権担保ローンなど様々なテーマがあります。なるべく異なるテーマのファンドに投資することでリスク分散するよう心がけましょう。

 

実際にどのようなテーマのファンドがあるのかは、クラウドポートなどの比較サイトで検索すると分かりやすいと思います。テーマ以外にも担保や保証、利回りなどを事業者横断で比較することができます。手間を惜しまず分散投資することが、ソーシャルレンディング投資をうまく進めていくコツです。

 

<Point>

●ソーシャルレンディングは銀行とは異なる審査基準で、多様な資金ニーズに応えている

●リスクを抑えるコツは分散投資

株式会社クラウドポート 代表取締役

早稲田大学商学部卒業後、株式会社サイバーエージェントに入社。2007年にWEB構築、マーケティング支援事業を行う企業を創業し、2012年に上場企業に売却。2013年に大手ソーシャルレンディングサービスを立上げ、サービス開始から約2年半で80億円の資金を集めるプラットフォームに成長させた。2016年11月に株式会社クラウドポートを創業。


ソーシャルレンディングファンドを事業者横断比較できるサイト「クラウドポート」
https://www.crowdport.jp/

著者紹介

株式会社クラウドポート 共同創業者

2007年東京大学経済学部卒業。戦略コンサルティング会社マッキンゼー・アンド・カンパニー出身。店舗集客サービス「スマポ」を展開する株式会社スポットライト、バーコード価格比較アプリ「ショッピッ!」、タクシー配車アプリ「日本交通タクシー配車」「全国タクシー配車」など、数々のヒットアプリを手がけ、3つの会社を創業・売却した経験を持つシリアルアントレプレナー。2016年11月に株式会社クラウドポートを創業。


ソーシャルレンディングファンドを事業者横断比較できるサイト「クラウドポート」
https://www.crowdport.jp/

著者紹介

連載専門メディアの運営者による「ソーシャルレンディング」入門

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