早い段階から事業承継について家族で話し合う
できるだけ早い段階から事業承継についてご家族でよく話し合われることをお勧めします。少なくとも親が70歳になるまでには済ませたいところです。
例えば今が65歳とすると、お子様は既に社会人になられているでしょうから将来に対する何らかの考えを抱いているのではないかと思います。
肩肘を張る必要はさらさらありません。常日頃から日常会話として気楽な気持ちで話し合われたらいかがでしょうか。
学生の時はほとんど興味を示さなかった不動産経営に関することを少しずつ食卓の話題に乗せるというので十分です。
一般の事業承継も同じですが、一番良くないのはいつまで経っても事業承継の話を親の側から話そうとしないことです。
特に子供が複数いる場合、親がどのように考えているのか話さないと子供もどうしていいのか分かりません。
心配だからといつまでも子供に任せないと・・・
日本人というのは「阿吽(あうん)の呼吸」で分かるはずだとよく言われますが、64年も生きてきてそれは間違いだと自信を持って言えます。言われないと分かりませんし、聞かないと分からないのです。
なお親から見ると子供というのは頼りないのですが、そんなことは当たり前です。人生経験が全く違うのですから・・・。逆に最初から親と同じレベルの能力があったとしたら、それこそ脅威ですが、そんな人はいません。
また資産家のお子さんの中にはハングリー精神に乏しい方やノンビリ屋さんがいて、これから先シッカリとやっていけるのか心配になるかも知れません。
でも、それも仕方のないことだと思います。仕事を任せることで徐々に不動産賃貸業の厳しさを学んでいくしか他に方法はありません。
一番いけないのは心配だからといつまでも子供に任せないで自分でやってしまうことです。親というのは通常は子供よりも早く死にます。死んだら何も教えられなくなります。したがって生きている内に自分の知っていることを何でも教えるべきなのです。
なお40ページ(※第10回)にも書いていますが、この本で取り上げている大地主というのは所有地の面積が少なくとも3,000㎡はあることを想定しています。
これはサラリーマンを辞めても不動産収入だけで十分生活できると思われる土地の面積ということです。
もちろん土地の所在場所によってはこれより小さくても十分な収入を期待できる場合もありますし、逆の場合もあります。いずれにしても脱サラをすることを前提にしています。
ただし、脱サラしても不動産業以外に何らかの事業をやることは構わないでしょう。我々のお客様もそうした方はいらっしゃいます。