所得税や法人税の申告業務は難しくないが・・・
欧米の資産家はほとんどがそれぞれの課題毎に専門家を抱えています。例えば病気には医者、法律問題には弁護士、家計問題には資産税に詳しい税理士または会計士といった具合です。
ところで手広く不動産経営をしている不動産オーナーはほとんどが税理士とか会計士に決算・申告業務を依頼していると思いますが、そうした業務と資産税業務は全く異なります。
所得税とか法人税の申告業務というのはルーティーン化されていますので、わずかな経験でもやれるようになります。もちろんベテランの税理士がシッカリとチェックする体制を整えておく必要はありますが、慣れてくるとそれほど難しいものではありません。
ところが資産税業務は個別の案件毎に内容がまるっきり違っていますので、かなりの経験がないと間違った提案をしてしまうのです。
それでも相続税とか贈与税、譲渡所得税などの申告書を作成する業務はそれほど難しくありません。その理由は判断することが比較的少ないからです。例えば相続税の申告というのは亡くなった時の財産を所定の方法で評価し税額を計算するだけです。
もっとも遺産分割をどうするかについてはある程度の経験がないと難しいというのも事実です。分割の方法で税額がかなり違ってきますし相続人間で揉めないように工夫する必要があるからです。
本当に相続対策ができる会計事務所は少ない
このように申告書の作成というのは過去の出来事を事実に即して忠実に計算するということなので資産税関係でもそれほど難解な部類には属しません。
ところが生前の対策になるとガゼン難しくなります。その理由は選択肢が余りにも多いので、その中からお客様にとって最善の方法を選ぶことが困難を極めるからです。
例えば土地の有効活用一つにしたって、どこに、何を、誰が、どれほどの規模で建てたらいいのか、資金はどうするのか、等々キリがないほど検討を要する項目があります。
もちろん、こうしたことを会計事務所が全て行なうことは不可能ですが、ある程度の方針は決めるべきだと考えています。
建物の規模によって相続税が大きく違ってきますし、その結果、納税方法も変わってくるからです。
以上は土地活用だけの説明ですが、相続対策にはそれこそ数えきれないほどの種類があります。それらをどのように組み合わせればお客様にとってベストなプランになるのか具体的な数値でシミュレーションする必要があるのですが、こうしたことができる会計事務所は残念ながらそれほど多くなさそうです。
したがって、もし顧問の先生がそうした業務を得意としていないのであれば資産税に詳しい先生にセカンドオピニオンとしてアドバイスしてもらうことをお勧めします。大地主の場合には簡単に億単位の違いとなって現れるからです。
また不動産オーナーの場合にはどうしても長いお付き合いになります。信頼できる方に何代にも亘って指導を仰ぐことが結果として「繁栄」の道に繋がるのだと思います。