前回は、不動産業者に求めたい「家造りの知識」について取り上げました。今回は、建築家、工務店に自宅の建築を依頼する際に注意すべき点を見ていきます。

施主の要望より「自分の意見」にこだわりがちな建築家

設計事務所の建築家に設計を依頼した場合、住む人の利便性よりも、自分の作品として考えている人が多く、施主が「ここはこうしたい」と修正を依頼しても、「いえ、ここはこの方がいいのです」と突っぱねられてしまうケースも多いようです。長い時間をかけて打ち合わせをしたのに、建築家から意に添わないプランが出され、「この図面を造るのにこれだけの時間がかかったからこれだけの費用を払ってください」と言われても納得できるものではありません。

 

また、建築家の提案通り壁を曲面にしたら家具が置きづらくなったとか、不必要に段差が多くて疲れるといった話があります。こういった事例では、実際の暮らしぶりをまったく考慮せずに作品として設計したとしか考えられません。

 

もちろん、生活動線や使い勝手を考えたプランを立てて、施主の希望を聞いてくれる建築家の方も中にはいらっしゃいます。ただ往々にしてプラン変更を聞かない人が多いとよく耳にします。建築家の中には実際の建築現場の納まりを知らず、工事を担当している施工会社から設計を指摘されると機嫌を損ねる人もいるようです。

 

個性的な家に住みたい。その人の作風が好きで作品を購入したい。多少意に添わなくても構わない、というリスクを背負う覚悟ができているのであれば、建築家にお願いする意味はあると思います。美的センスや相性のいい建築家と出会えれば、もちろん満足のいく家が建てられるでしょう。

工務店は自宅から近いほどいいという俗説があるが・・・

工務店を選ぶ際は、家から近い会社がいいという説が昔からあります。何かトラブルがあった際にすぐにかけつけてくれるという理由からです。しかし、トラブルへの対処スピードは、それぞれの会社の姿勢の問題であって、距離の問題ではありません。

 

例えば、ドアの締まりの調子が悪い、といったような急を要さないトラブルがあった場合、家から10分の場所にある会社と、家から1時間の場所にある会社を比較して、前者は対応が3日後だけど、後者は翌日にはすぐお宅へ伺って対応してくれるとしたら、後者の会社の方が結果的には早く問題が解決します。

 

実際、緊急を要するようなトラブルというのは、電気系統やガス給湯器の故障などであって、工務店では直せないので機器のメーカー担当者が修理に伺うことになります。そうなると、住宅会社に電話して、そこからまたメーカーのサービスセンターに連絡するのと、お客様自身がサービスセンターに連絡するのとでは大差はなく、住宅会社の距離は関係ありません。大事なのは、あなたが困ったときにすぐ対応してくれる会社かどうかです。

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    本連載は、2017年2月27日刊行の書籍『改訂版 いい家は注文住宅で建てる』(幻冬舎メディアコンサルティング)の本文から一部を抜粋したものです。

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