前回は、住宅メーカー営業マンの正体を見抜く方法をご紹介しました。今回は、相見積もりが不可欠な理由を見ていきます。

工事にかかる「本質的な金額」を見抜く

複数の会社から見積りをとりましょう、とは、家造りに限らずよく言われることですが、ではなぜその必要があるのでしょうか。一番低い金額を提示してきた会社がいい会社なのでしょうか。それとも一番高い見積り額の会社が、その値段に見合ったいいものを提供してくれるということでしょうか。

 

会社によって見積りの立て方はまったく違います。すべての会社が同じ仕様で見積りを立てるということはありえません。安いけれどちょっと質が落ちる壁材や床材を使っている会社と、やや値段は上がるけれど質の高いものを使っている会社では、価格が変わってくるのは当たり前の話です。

 

例えば、製造年も型もまったく同じ車を2台並べて、安い方を選ぶというならわかります。しかし、軽自動車とクラウンと、そもそも違う自動車を比べて、軽自動車の方が安いからこっちにしようというのとでは、話が違います。総額だけを見て、安い、高いと判断するのではなく、明細の項目の比較や、単価の比較をしてみて、工事にかかる本質的な金額を見抜く感覚を身につけましょう。

数社の見積もりを比較して明細を確認

あまりに見積りが細かすぎても、どこを見ていいかわからないかもしれません。ただ、わからないなりに3社、4社と見積りをとって比べてみれば、A社の明細にある項目が、B社にないのはなぜだろう、と、なんとなく違いが見えてくるものです。

 

安すぎても不安だし、高すぎても怪しい。いくつか比較して見ているうちに、なんとなく、この会社はまじめに見積りを立てているな、といったことを感じられるようになります。多くの会社は一式見積りといって、単価を明記せず、材料や工事費、諸経費等を含めた総額で出すことが多く、契約後、打ち合わせをすると、何が含まれていて、それがいくらなのか不明な場合もあります。

 

弊社では、一番最初の見積りから、ベニヤ板が1枚いくらで、何枚使うからいくらになる、と細かく明細を出しています。正式に契約をする前に、こんなに細かい見積りを出す会社はあまりないでしょうが、こうすると、その後の仕様決めの打ち合わせがスムーズに進むのです。実際には火災保険や登記費用、地盤改良など、家造りのさまざまな段階で、その他諸経費が必要になってきます。最低でも500万〜600万円は予算に余裕を持ってみておきましょう。会社によってはこれらの費用も見積りに入れてあるところもあります。見積りが出てきたら、何が含まれているのか、その範囲を確認してみましょう。

 

また、弊社では、最初の見積りと一緒に、平面図、立面図に加えて3Dパースをセットにしてお渡ししています。外観のデザインやフロア全体の間取り、各部屋のイメージなどもすべて作成します。もちろん、契約前ですが無料です。平面図や立面図だけで家のイメージをふくらませるのは、建築のプロ以外には難しいことです。具体的なイメージを掴んだ上で契約してもらいたいと考えて、10年くらい前から無料の3Dパース作成に取り組んでいます。

 

[図表]緑建設の3Dパース

本連載は、2017年2月27日刊行の書籍『改訂版 いい家は注文住宅で建てる』(幻冬舎メディアコンサルティング)の本文から一部を抜粋したものです。

改訂版 いい家は注文住宅で建てる

改訂版 いい家は注文住宅で建てる

齋藤 正臣

幻冬舎メディアコンサルティング

人生で一番大きな買い物、「マイホーム」。理想のイメージばかりが先行して、見当違いな設計に後悔したり、不本意な金額を払ったりするハメに陥らないために、まずは住宅オーダーの基本を学びましょう。「よい見積り、悪い見積…

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