前回は、所有者によって異なる「自社株」の承継方法を解説しました。今回は、事業承継の際に、少数株主から株を買い集める方法について見ていきます。

定款に条項を設けることが対策に

自社株に関しては他の株主の動向に対しても注意を要します。株主は所有する議決権の割合に応じ、様々な権利を行使することができます。下記図表にあるように、仮に10%の株式しか所有していない少数株主(非支配株主)であっても、「臨時の株主総会を開け」「会計帳簿を見せろ」などを会社に請求できるのです。

 

[図表1]議決権比率ごとの行使できる権利

 

また、そもそも「株主総会を定期に開催していない」「決算内容を開示していない」など、会社法の定める義務を守っていないような場合には、総会決議の無効を訴えられるおそれもあります。

 

したがって、前回の連載で触れた(役員・従業員)持株会、取引先等が自社の株式を所有しており安定株主として機能しているようなケースを除き、自社の株式を所有する株主がほかにいる場合には「株主としての権利を行使され経営を邪魔されるリスク」が常に存在すると言えます。

 

そうしたリスクを防ぐためには、可能な限り株主の数を増やさないこと、つまりは株式の分散を防ぎ後継者に株式を集中させることが必要です。株式が分散する可能性が高いのは、自社の株式を所有する株主が亡くなり相続が発生したときです。そこで、相続が発生した株式を会社が買い取れる旨の条項を定款に設けておくことが対策手段となります。

 

すなわち、定款で「相続や合併等による一般承継時に会社が株式を買い取れる」旨を定めておけば、株主が死亡して相続が発生した場合に、その株主の相続人が株式を保有することを防止できます。このような定款の条項を「一般承継条項」と言います。

少数株主を強制的に排除する「スクイーズアウト」

また、株式を後継者に集中する手段として「スクイーズアウト」も有効な選択肢の一つです。スクイーズアウトとは、株式を少数しか保有していない株主を強制的に排除する方法で、具体的には株主に対して金銭などの対価を交付して株式の引き渡しを求めることです。株主総会で特別決議を実行できる3分の2以上の株式を支配している場合には、種類株式(取得条項付株式)などを利用して行えます。

 

さらに、平成27年度の会社法改正により90%以上の株式を保有する「特別支配株主」は他の株主に対して株主総会を経ることなく、株式の売渡請求が可能となりました。

 

すでに親などから株式を相続している場合には、スクイーズアウトの条件を満たしていることが多いはずです。強引な手法とも考えられますが、全ての株式を一気に手元に集めたい場合には大変便利な手段なので、活用を検討してみてください。

 

[図表2]特別支配株主によるスクイーズアウト

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    本連載は、2016年10月21日刊行の書籍『「親族内」次期社長のための失敗しない事業承継ガイド』から抜粋したものです。その後の税制改正等、最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。

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