言葉をかけられなければ、視線や表情で伝える
さあ、困りました。声かけできない場面、サービスを提供する側の店員さんはどのような態度をとるべきなのでしょうか。
対応中のお客様に「失礼します」と断りを入れ「いらっしゃいませ。少しお待ちくださいませ」と声をかけられれば、それに越したことはありません。でもタイミング的にそれがなかなかできない、そんな場面も必ずあるはずです。
ここで大切なのは、たとえ声をかけられないにせよ、視線を合わせ「お客様を無視しない」ことです。言葉をかけられなければ、視線や表情で伝えれば良いのです。
たとえばレストランであれば、手がいっぱいでもお客様のほうに視線を向けて「いらっしゃいませ。少々お待ちください。すぐにお伺いします」と表情と視線で気持ちを伝えます。これこそがAcknowledge(1)の「相手の存在を認識する」ことになるのです。
視線を合わせれば「気づいている」ことが伝わる
最悪なのはお客様の存在を無視したり、気がつかないふりをしたりすることです。野球場のように広い場所の端と端にいるわけではありません。どんなに広くてもお店はお店です。お客様は、何とか自分に気づいてほしいと思い、店員さんをじっと見つめているはずです。その視線は痛いほどわかります。
それはお客様がI’m here.「私はここにいますよ。私の存在に気がついて」というシグナルを送っているということです。そのお客様に対しては、必ず何らかの形でお答えしましょう。決して失礼があってはなりません。
まずは視線や表情でお客様を認識していることを知らせ「私はお客様の存在に気づいておりますよ」とお伝えし、お客様に理解していただくことが大切です。それさえできれば、お客様は気持ちよく待ってくださるでしょう。時間がなく待つことができないにせよ、決して不快な気持ちをもってお店をあとにすることはないはずです。
スタッフの皆さんには、業務をこなしつつそのようなお客様の気持ちにも敏感であってほしいものだと、私は常々思っています。難しいことではありません。こうすることで、とりあえずはお客様に「無視されている」という気持ちを抱かせないことができます。