前回は、生命保険の契約形態を工夫した節税スキームの例を取り上げました。今回は、節税目的で孫を養子にする場合のメリット・デメリットについて見ていきます。

養子縁組をすれば基礎控除額を加算できるが・・・

北井 生命保険以外にも養子を活用する、なんていうのもあります。おさらいですが、相続税の基礎控除は「3000万円+600万円×法定相続人の数」という計算式で決まるのはもうよかったですかね? つまり法定相続人の数が1人増えると控除額が600万円増え、節税効果が高まることになるのです。実は養子は相続では実子と同じ扱いなので、養子を迎えることで結果的に相続税を抑えることができるのです。

 

相子 へー、すごい。法定相続人の数が増えた分、非課税枠を増やせることがメリットなら、生命保険や死亡退職金の非課税枠も養子をとることで増やせたりもするんですか?

 

北井 はい、そうなんです。増やせます。たとえば孫を養子にする場合の効果についてはもう一つ、「子供を飛ばして孫に財産を譲ることができるから、相続税の支払いを1回分省ける」というのもあります。

 

相子 じゃあ、孫をどんどん養子にすればいいですね!

 

北井 ははは。そんなふうに考える人が増えると困るので、法定相続人にできる養子の数には制限が設けられています。実子がいる夫婦なら1人、いない夫婦の場合は2人までです。

 

相子 うーん、税務署もいろいろと考えているのね。でもとりあえず1人でも養子にすれば節税効果が出るんですよね。お父さんに頼んでうちの次男を養子にしてもらおうかしら。

他の親族が不公平感を募らせ、トラブルになることも

北井 孫を養子にする場合にはメリットがある反面、デメリットも指摘されているので、しっかり検討したほうがいいと思いますよ。

 

相子 どんなデメリットがあるんですか?

 

北井 まず孫のうち1人だけに相続権を与えることになるので、他の親戚から「不公平」と見られて、トラブルが起きがちです。実子とトラブルになることもあります。また、養子は実の親と法律上の親という2組の親を持つことになります。両方に対して扶養義務を負うため、後々には経済的に大変な思いをするかもしれません。

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