問題が解けたかどうかは重要ではない
小学校の3年生ぐらいになれば、算数の文章題に挑戦させてみてください。といっても、いきなり最難関校の難問をやらせる必要はありません。最初は簡単な問題から与えてみて、子どもの反応を見ていけばよいのです。問題を見た瞬間に手を動かして解けるようなら、それは簡単すぎるということ。そこからレベルを高めていきます。
少しずつ難易度を高めていくのは、大人が筋力アップのためにトレーニングをする時と、考え方は同じです。30キロのバーベルを持ち上げられる人が、5キロの重さでトレーニングをしても意味はありません。バーベルなどの重りを使ったトレーニングをする時には、どんなにがんばっても6回ぐらいしか繰り返せないほどの負荷をかけるのが、筋力を強化するのには最適だといわれています。
頭を柔らかくするための訓練に必要な負荷は、回数ではなく時間です。最低でも20分ぐらい考え続けることのできる問題が、頭を鍛えるためには、適切な負荷となります。何度も繰り返しますが、ここで大切なのは考え続けることであって、問題が解けたかどうかは関係ありません。
だから解けないからといって、子どもを責めたりしないことです。責めるのではなく、20分も考え続けられたことをほめてあげてください。もし、途中で考え疲れた素振りを見せたら、休憩を挟んでも構いません。その時は「一休みして、もう少しがんばってみようね。問題が解けなくても、解こうとして頭を使うことが最高の勉強になるから。考え続けていれば、すごいことになるよ」と励ましてあげてほしい。
もちろん結果的に答えが出ることもあるでしょう。それが20分以内にできてしまうようになれば、頭がそれだけ柔らかくなったということです。まず成長をほめてあげる、その上で与える問題のレベルをもう少しアップしてあげてください。
子どもを急がすのは禁物
とはいえ、子どもの手が止まり、目の輝きが失われる時もあります。そんな時は、子どもに問題の意味を尋ねてあげましょう。「お母さんは、この問題の意味がよくわからないんだけれど、どういうこと?」とか「お父さんにもわかるように説明して」などです。
何かを人に説明しようとすれば、そこでまた、頭が動き始めます。頭が動いてさえいれば結果を焦る必要などありません。この時やってはいけないのが、子どもを急がすことです。考えるための時間をたっぷり取りさえすれば、子どもの思考力は必ず伸びます。
考えた結果をきちんとほめて、考えるモチベーションを高めるよう努めてください。必ず成果がついてきます。子どもは間違いなく変わります。考えることが楽しくなれば、頭はどんどん柔らかくなっていくのです。