無理な「詰め込み教育」の結果…
日本の教育制度は、明治維新以来、基本的に変わっていません。教育とは教えて、暗記させること。子どもたちの考える力を育む教育とはなっていないのです。時代が大きく変わりつつある今、学校教育も転換すべきだと考えます。日本の教育の現状には強い危機感を覚えます。
今行われているのは、無理な詰め込み教育です。2002年から導入された「ゆとり教育」は、子どもたちの学力低下を招きました。これを反省して2008年に告示された学習指導要領では、学習内容が増やされ、授業時間の10%増などが盛り込まれています。その結果、とにかく多くの知識を詰め込むためのカリキュラムが組まれています。
実際、公立高校の入試問題などを見ると、学習範囲が一気に広がった印象を受けます。実際に学ぶ量は急増しており、先生としても急いで教えないと年度内に消化しきれない恐怖感に駆られるようです。だから、より効率的に教え込もうとする。まさに悪循環です。
急いで量を詰め込んでも、子どもたちの頭はまったく動きません。教えられる、すなわち受け身の状態では、頭は活性化しないのです。そんな授業で、頭が柔らかくなることはあり得ません。つまり、今の学校教育を続ける限り、子どもたちが頭を使えるようには絶対にならないのです。
今の教育のままでは日本の未来は暗い
今の子どもたちが大人になる頃の日本は、どうなっているでしょうか。モノづくりで世界のトップをキープし続けていられるでしょうか。食料やエネルギーの自給率が、急激に高まるなんてことが想像できるでしょうか。例えばアメリカでは、簡単な事務職はすべてインドで処理するようになっています。インターネットのおかげで、単純な仕事は賃金の安い国で処理することが当たり前の世の中になっているのです。これからの日本の若者は、どうやって食べていくのでしょうか。
極めて厳しい状況の中で、日本は生き残らなければならないのです。今のままで放っておかれる日本の子どもたちに待っている未来は、明るいといえるのでしょうか。
インターネットの普及は、情報量の爆発的な増加をもたらしました。特に英語を使ってネット上を探せば、必要な情報はほぼ何でも手に入れることができる。そんな環境ができあがっているのです。そこで必要なのは、情報を元にして考える力です。情報をいくら集めても、それだけでは何も生まれません。集めた情報を自分の頭で考え直すことで、新しいアイデアが生まれるのです。
しかし、今の日本の教育のままでは斬新なアイデアなど生まれるはずもありません。文部科学省の方々はもちろんのこと、それこそ産官学のトップを走る方々が総力をあげて連携し、日本の教育の大転換を図る必要があります。
暗記が7割、思考が3割という従来からの暗記型教育を、思考が7割、暗記が3割という思考型教育へと大逆転させるのです。