今回は、経済の低迷が目立つ中国東北部の状況についてお伝えします。※本連載では、中国経済の下振れリスク、その抱える課題について探っていきます。

伝統的に国有企業の比重が高い東北部

東北部はまた、伝統的に国有企業(国企)の比重が高い。国企資産シェアは他地域平均が約38%であるのに対し、東北部は50%を超える。国企の効率性は私企業より低く(16年、私企業の利潤対営業収入比、百元資産当たり営業収入が各々5.94%、185.3元に対し、国企は5.03%、59.5元、他方、負債対資産比は私企業51.7%、国企61.4%、図表2)、全国的にその改革が課題となっている。15年9月、国務院と党中央委員会が「国有企業改革深化に関する指導意見」を発出し、国企への民間資本の参加(またはその逆)を促す「混合所有制」の推進を掲げた。

 

国有資産監督管理委員会(国資委)によると、その後1年間、全国で92%以上の中央直轄国企が組織改革に着手、68%が混合所有制に移行、4企業が市場での役員公募採用を実施、企業数は14年112から102へと整理された。

政府は国有企業の経営効率化を図るが…

国務院は昨年末、特に東北部を対象にした国企改革法案も発出した。東北3省の10〜20の地方国企を混合所有制推進のモデル企業として選定し、また若干の省級国有資本運営会社を設立、いくつかの重要大企業の合併再編についての検討を行う予定とされた。ただ、中国政府が進める改革は、共産党の国企への関与を強め、また合併再編でより巨大な国企を設立し、競争領域にも国企が参入できるようにしたもので、国企の経営効率化、民営企業の拡大につながるかどうかは未知数だ。

 

この他、東北部の経済低迷に対応するため、中央政府は昨年、一連の実施意見を出してきたが、発展改革委員会は11月、東北新興国家基金設立を柱とした「東北新興‘十三五’規画」を発出した(‘十三五’は第13次5ヶ年計画)。ネット上で「投資不過山海関(投資が山海関を越えない、山海関は河北省、万里の長城の東端に位置する)」と揶揄される低迷の打破を目指している。

 

(図表2)国有企業と私企業、効率性比較

(注)国有控股企業は国家統計局の分類で、国が50%以上を出資する国有絶対控股企業、国の出資は50%未満だが出資比率は最大である相対控股、および最大の出資者ではないが、実際上国が支配している協議控制の合計。
(出所)中国国家統計局
(注)国有控股企業は国家統計局の分類で、国が50%以上を出資する国有絶対控股企業、国の出資は50%未満だが出資比率は最大である相対控股、および最大の出資者ではないが、実際上国が支配している協議控制の合計。
(出所)中国国家統計局

 

 

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