今回は、弁護士以外は対応できない「複雑な法律問題」の例を紹介します。※本連載は、長年にわたり法律事務所に勤務し、現在は士業専門のコンサルタントとして活躍する大坪孝行氏の著書、『いい弁護士の選び方 上手な付き合い方』(翔泳社)の中から一部を抜粋し、弁護士とはどのような人々なのか、依頼にはどの程度お金がかかるのかなど、基本的な知識を紹介します。

他の士業への相談は、お金や時間の無駄になることも

個人の方の法律相談に関して、相談すべき士業の整理をしてみましょう。

 

●相続問題・・・弁護士・司法書士・税理士・行政書士

●離婚問題・・・弁護士

●交通事故・・・弁護士

●近隣トラブル・・・弁護士

●借金問題・・・弁護士・司法書士

●不当解雇などの労働問題・・・弁護士

●警察に逮捕されてしまった場合・・・弁護士

 

このように、弁護士だったらあらゆる問題に対応可能なことがおわかりいただけたと思います。

 

逆に、ここに記載のない士業は相談に応じることができても、法的に対応ができない可能性が高いのが実情です。また、一部の士業では違法行為とも思えることを平然と繰り返しているのも事実です。

 

交渉権限が法的にないにもかかわらず相手方と平然と交渉を行ったり、代理権限がないにもかかわらず代理人を平気で装ったりする士業がいることは、残念でなりません。弁護士以外に相談に行ってしまうと、二度手間三度手間となってしまう可能性がありますし、相談料だけ支払い続けることになる恐れもありますので、注意が必要です。

 

少し難しい話をすると、様々な法律問題は相手との交渉が必要であったり、裁判手続きや強制執行といった差押え等を要したりする場合が多くあります。このような法律問題について全ての手続きを行えるのは弁護士のみですので、弁護士に相談されることをお薦めいたします。

 

ここ最近、インターネットやSNSの普及により、弁護士以外の一部の士業が違法と思われる広告を平然と出している事例を見かけることがあります。決して、そのような広告に飛びつくことはないよう、注意して下さい。

弁護士なら「しなくてもいい離婚」を防ぐことも可能

私が実際に経験したことです。奥さんからの離婚相談で、離婚したい理由の一つに、旦那さんの結婚前からの借金返済による生活費の圧迫問題がありました。

 

弁護士が丁寧に約4時間に及ぶヒアリングを行ったところ、借金を整理し、生活費が安定すれば離婚をしなくても済むという案件に変わりました。

 

結果として、借金の整理(破産申立て)を行い、お子様を含む一つの家族が無駄に別れずに済み、安定した生活を営むことができるようになりました。案件終了後も暑中見舞いと年賀状が事務所に届き、「弁護士の先生の適切なアドバイスと対応のお陰で、私たち家族は幸せに暮らしています」と書かれていました。

 

離婚問題の中には、「感情論」だけではない問題が内在しています。ただ単に離婚協議書を作成すれば済むような案件ばかりではありません。

 

この件のように、離婚問題のヒアリングから内在する法的な問題(この場合は借金問題)に光を当て、法的な問題を解決させることで不必要な離婚問題を事実上解決させる能力と実力を有しているのは、弁護士のみなのです。

いい弁護士の選び方 上手な付き合い方

いい弁護士の選び方 上手な付き合い方

大坪 孝行

翔泳社

弁護士が必要になったら最初に読む本! 「専門家に頼まないとダメかも…」という問題が起こっても、どんな弁護士に頼んだらいいのか、ほとんどの人はわかりません。 ようやく弁護士にたどり着いても、費用がいくらかかるのか…

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