大切な家族がバラバラになってしまった
次男夫婦の不満は、兄弟間の関係にも飛び火しました。次男が長男に対し「お前たちが親の金を独占した」と詰め寄ったことで、兄弟喧嘩にも発展。長男側も「自分たちは頼んだわけじゃない。親が好意で出してくれたんだ」と応戦しました。
直人さん夫婦は、孫の成長を応援したかっただけなのに、自分たちのしたことがきっかけで大切な家族がバラバラになってしまったことに深いショックを受けました。
「お金を渡すのなら、最初からどんな理由であれ、一律のルールにしておけばよかったんでしょうかね? 孫への愛情に差があったわけではないのに、お金の出し方一つで、こんなことになるなんて……」
直人さんは重い口調でそう振り返ります。「不公平感」をきっかけに崩れてしまった関係は、時が経っても、簡単に回復することはありませんでした。
「孫への援助」はどう考えるべきか?
今回の直人さん夫婦のケースは、決して特別な家庭の珍しいトラブルではありません。「子や孫への援助金の差」が発端で家族関係が破綻してしまうというのは、相続などでもよくある話です。
まず意識すべきなのは、親や祖父母が最初に向き合うべきは、「自分たちの終身にわたる生活防衛」であるという点です。どれほど手元に余裕があるように見えても、医療・介護・住まいの修繕コストは高齢期後半になるほど不確定要素が増します。
子が複数の場合、最初に「余裕があるから」と大きな金額を出してしまうと、今回のように次のタイミングで同様の額が出せない場合に、「自分たちは軽視された」とトラブルになってしまうリスクがあります。
また、相続の観点からも、特定の子への多額の援助は、将来の遺産分割において「特別受益」としての持ち戻し主張や、相続人同士の感情的な泥沼化を招く最大要因となります。たとえ当人同士が「教育費の応援」「お祝い」という名目でやりとりしていても、他の兄弟・親族から見れば「特定世帯への贔屓」と見えてしまうこともあるのです。
こうした悲劇を防ぐためには、孫へのお祝いや支援について、「誰に対しても公平」であるように定めておいたほうが良いでしょう。万が一、病気など、予期せぬ事情で方針を見直さざるを得ない場合にも、今回の「300万円」と「30万円」のような極端なことにはならないよう、「最初の孫」への支援の際には特に注意が必要です。
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