「車がなくても困らない」引っ越して実感した暮らしの変化
新居での生活が始まって、最初に変化を感じたのは買い物でした。
「前は車でまとめ買いしていたんですが、今は散歩のついでにスーパーへ寄れるんです」
和子さんは、必要なものを少しずつ買えるようになり、冷蔵庫に食材をため込むことも減ったといいます。
正弘さんにとって大きかったのは、外出の気軽さでした。
「以前は出かけるとなると、車を出すかバスの時間を調べるかでした。今は思い立ったら歩いて駅まで行けます」
夫婦は引っ越し後に車を手放しました。駅前の商店や公共交通機関を利用する生活になり、車検や保険料、ガソリン代などの負担もなくなったそうです。
さらに、家事の負担も軽くなりました。
新居は約65平方メートルの2LDK。庭の手入れは不要になり、掃除する部屋も少なくなっています。
「朝から草取りをしなくていいだけで、こんなに気持ちが楽になるとは思いませんでした」
国土交通省『令和5年住生活総合調査』では、今後の住まいに関する意向や住宅・居住環境への評価などを調べています。また、総務省『令和5年住宅・土地統計調査』によると、全国の空き家は約900万戸、空き家率は13.8%でした。住まいの維持管理や将来の活用は、住宅を所有する人にとって考えておきたい課題です。
もちろん、マンションならではの出費もあります。
正弘さん夫婦の場合、管理費と修繕積立金、駐車場を利用しない場合のその他の固定的な住居費を合わせ、月約3万5,000円を支払っています。
「最初は毎月お金がかかるのが気になりました。でも、前の家でも修繕費は必要でしたし、車の維持費がなくなったので、思ったほど負担は増えていません」
何より夫婦が喜んでいるのは、外出する機会が増えたことです。
以前は週末も自宅で過ごすことが多かった正弘さんですが、今は電車で美術館へ出かけたり、妻と駅前の喫茶店で昼食を取ったりしています。
「家が便利な場所にあるだけで、出かけることへの面倒くささが減ったんですよね」
和子さんも、夫の変化をうれしく感じているそうです。
「前は買い物に誘っても、面倒だから一人で行ってきてと言われることが多かったんです。今は夫のほうから散歩に誘ってくれます」
夫婦は、住み替えを考え始めた頃のことを振り返り、こう話します。
「一戸建てを手放すのは寂しかったです。でも、今の暮らしがこんなに快適なら、もっと早く引っ越してもよかったねって」
高齢期の住み替えでは、購入費用だけでなく、毎月の管理費や修繕積立金、周辺環境などを十分に確認する必要があります。長年住み慣れた家への愛着を大切にしながらも、今後の移動手段や家事の負担を考え、自分たちが暮らしやすい住まいを選ぶことが重要でしょう。
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