(※写真はイメージです/PIXTA)

定年退職は、長年働いてきた人にとって大きな節目です。仕事中心だった生活から離れ、夫婦で旅行や趣味を楽しもうと考える人もいるでしょう。しかし、退職によって夫婦が一緒に過ごす時間が増えると、これまで表面化しなかった生活習慣や価値観の違いが明らかになることもあります。老後の暮らしを楽しみにしていたはずが、思いがけない夫婦の問題に直面するケースもあるようです。 ※本記事に掲載している事例は、プライバシー保護および情報の一般化のため、実際の相談事例をベースに一部の数値や設定を変更・再構成したモデルケースです。

「あなたの退職を待っていた」妻が一人暮らしを決めた理由

由美子さんが別居を考え始めたのは、約2年前のことでした。当時正弘さんは仕事で忙しく、帰宅後は食事を済ませるとテレビを見て過ごすことがほとんどでした。

 

由美子さんが友人との旅行を相談しても、「そんなに出かける必要があるのか」と言われ、パートの勤務日を増やしたいと話したときも、家事に支障が出ることを心配されたといいます。

 

「あなたは悪気なく言っていたんでしょうけど、私が何か決めようとすると、いつも先に意見を言うのよ」

 

由美子さんは、退職後に夫が毎日家にいる生活を想像するうち、自分の時間がなくなるのではないかと不安になったそうです。

 

「旅行に行こうって言ってくれたのはうれしかった。でも、どこへ行きたいか、私には聞かなかったでしょう?」

 

正弘さんは言葉に詰まりました。

 

確かに、退職後の計画は自分から提案することが多く、妻の希望を詳しく聞いたことはありませんでした。

 

厚生労働省『令和6年(2024)人口動態統計月報年計(概数)の概況』によると、2024年の離婚件数18万5,895組のうち、同居期間20年以上の夫婦は4万686組でした。長年連れ添った夫婦が婚姻関係を解消するケースも、一定数みられます。

 

もっとも由美子さんが希望しているのは、今すぐの離婚ではありません。

 

「半年くらい、自分のペースで暮らしてみたいの。これからどうしたいか、その間に考えたい」

 

マンションの契約はまだ済ませておらず、申込後に審査を受けている段階でした。

 

正弘さんは、家賃や生活費のことも気になりました。

 

「別々に暮らしたら、お金も余計にかかるだろう」

 

由美子さんは、これまでのパート収入から貯めたお金を当面の費用に充てるつもりだと説明しました。ただし、今後の生活費の分担については、夫婦で相談したいといいます。

 

正弘さんは初めて、妻が自分とは別に生活の計画を立てていたことを知りました。

 

「退職金も貯蓄もあるから、これからは安心だと思っていました。でも、妻がどう暮らしたいのか、考えていなかったんですね」

 

数日後、夫婦は改めて話し合い、由美子さんが希望する半年間の別居を認めることにしました。生活費の負担や連絡の取り方についても、今後具体的に決めていく予定です。

 

「寂しくないと言えば嘘になります。でも、無理に引き留めても、妻の気持ちは変わらないと思いました」

 

正弘さんは現在、退職後に始められる趣味や地域の活動を探しています。

 

退職は、夫婦の生活時間が大きく変わる節目です。経済的な準備に加え、家事の分担や自由な時間の使い方、互いに望む暮らしについて話し合っておくことが大切でしょう。長年一緒に暮らしてきた夫婦でも、これからの生活に対する希望を言葉にして確かめる機会が必要です。

 

【関連記事】

■月20万円もらえるはずが…45歳・サラリーマン「ねんきん定期便」に抱いた違和感。「年金ルール」知らずにそのまま20年…65歳で受け取ることになる年金額に唖然「何かの間違いでは?」

 

■「銀行員の助言どおり、祖母から年100万円ずつ生前贈与を受けました」→税務調査官「これは贈与になりません」…否認されないための4つのポイント【税理士が解説】

 

■親が「総額3,000万円」を子・孫の口座にこっそり貯金…家族も知らないのに「税務署」には“バレる”ワケ【税理士が解説】

 

 

 

 

人気記事ランキング

  • デイリー
  • 週間
  • 月間

メルマガ会員登録者の
ご案内

メルマガ会員限定記事をお読みいただける他、新着記事の一覧をメールで配信。カメハメハ倶楽部主催の各種セミナー案内等、知的武装をし、行動するための情報を厳選してお届けします。

メルマガ登録
会員向けセミナーの一覧