(※写真はイメージです/PIXTA)

子どもが独立した後も、電話やメッセージで近況を確かめ合う親子は少なくありません。孫が生まれれば、成長を見守る楽しみも増えるでしょう。一方、子ども世帯には仕事や家事、育児などの日々の予定があります。会いたい気持ちから連絡を重ねるうちに、相手の負担になっていたと気づくこともあるようです。家族との適切な距離感は、年齢とともに変化していきます。 ※本記事に掲載している事例は、プライバシー保護および情報の一般化のため、実際の相談事例をベースに一部の数値や設定を変更・再構成したモデルケースです。

「寂しいけれど、こちらからは連絡しません」変わり始めた日常

それ以来、節子さんは娘への連絡を控えるようになりました。

 

最初の週末は、いつもの時間になると携帯電話を手に取ってしまったそうです。

 

「今週は何をしているのかな、孫たちは元気かなって。聞きたいことはたくさんありました」

 

それでも、娘から連絡が来るまで待ってみることにしました。

 

総務省統計局『家計調査報告〔家計収支編〕2025年平均結果の概要』によると、65歳以上の単身無職世帯では、月平均の可処分所得が11万8,465円、消費支出が14万8,445円で、毎月約3万円の不足となっています。

 

節子さんも年金だけで暮らしているため、支出には気を配っています。ただ、孫たちに会う日は食材や手土産を買い込み、普段より多くお金を使うことがありました。

 

「孫が喜ぶならと思って、つい買ってしまうんです。でも、毎回そんなに用意しなくてもよかったのかもしれません」

 

娘一家への連絡を控えたことで、節子さんは自分の時間の使い方も見直し始めました。以前は週末に予定を入れず、娘から「遊びに行ってもいい?」と連絡が来るのを待っていました。

 

今は近所の友人と買い物に出かけたり、公民館の手芸講座に参加したりしています。

 

「最初は気を紛らわせるためでした。でも、久しぶりに同年代の人と話すのも楽しいですね」

 

娘から連絡が来たのは、電話で話し合ってから3週間ほどたったころでした。

 

「お母さん、今度の日曜日、少し顔を出してもいい?」

 

節子さんはうれしくなりましたが、以前のように張り切って料理を用意するのはやめました。当日はお茶と菓子だけを出し、孫たちの学校での出来事を聞きながら、ゆっくり過ごしたそうです。

 

帰り際、美紀さんが「また予定が合うときに来るね」と言いました。節子さんは「無理しなくていいからね」と答えました。

 

「寂しいけれど、こちらからは連絡しません。娘にも娘の生活がありますから。向こうから声をかけてくれたときに、楽しく会えればいいと思っています」

 

もっとも、節子さんは必要な連絡まで控えているわけではありません。体調の変化や急ぎの用事があれば、遠慮せず娘に相談すると決めています。

 

親子の交流は、子どもの成長や生活環境の変化に合わせて形を変えていくものです。連絡の頻度や会う予定について、互いの希望を伝え合うことで、負担を減らせる場合もあります。家族との時間を大切にしながら、自分自身の暮らしも充実させていくことが、無理のない関係を続けるうえで重要でしょう。

 

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