穀物相場、物流にも影響か?…2026年春から続く〈エルニーニョ現象〉、「過去最強」で「異常気象」リスクも

景気の予告信号灯としての身近なデータ(2026年10月19日)

穀物相場、物流にも影響か?…2026年春から続く〈エルニーニョ現象〉、「過去最強」で「異常気象」リスクも
(※画像はイメージです/PIXTA)

気象庁の「エルニーニョ監視速報」の冒頭のまとめの表現が10月9日より変更され、状況をより強く伝える体裁となっています。エルニーニョが日本に及ぼす影響について、過去のデータと照合しながら推察します。エコノミストの宅森昭吉氏が、地域や業種別のデータから景気の実態を読み解きます。

パナマ運河を巡る「物流への影響」も懸念…前回のエルニーニョでは、例年に比べて2メートルも水位が低下

パナマ運河を通る物流への影響も懸念されるといいます。パナマは熱帯性気候に属し、12月下旬から4月上旬までの乾季と4月下旬から12月上旬までの雨季に季節が分かれています。パナマの年間降雨量は太平洋側が1,500~2,000mm、カリブ海側は3,000~5,000mmと多くの雨が降り、この雨によってもたらされた潤沢な水がパナマ運河を支えています。

 

雨の多いパナマですが、2023年は過去100年で最大の干ばつと呼ばれるほど、雨が少ない年となりました。干ばつを起こした原因は通常の規模でしたが、エルニーニョ現象が関係しています。エルニーニョ現象は、パナマや南米大陸の北部地域では年間を通して平年よりも高温となり、雨季の期間中の降水量は減る傾向となります。

 

パナマ運河は「水のエレベーター」とも呼ばれる閘門(こうもん、運河・放水路などで水量を調節するための水門)方式で船を上下させ、太平洋と大西洋を結ぶ運河です。

 

1. 太平洋側または大西洋側から船が入る。

2. 閘門に入り、船を閉じ込める。

3. 水を注入して船をガトゥン湖まで持ち上げる(上昇時)。

4. 湖を通過し、反対側の閘門で水を抜いて海面まで下げる。

5. 太平洋または大西洋へ出航する 。

 

という手順で運河を通ります。

 

雨季での降水量が減ったことで閘門の水位は低下し、雨季の真っ只中である9月頃は例年であれば海抜26メートル程まで水位がありますが、前回のエルニーニョの2023年9月では約24メートルと例年に比べて2メートルも下がったそうです。この水位の低下により運河の通航にも影響が出て、①閘門で使用できる水量に制限が掛かり、通航できる船の数の抑制、②座礁の危険性があることから通航できる船の大きさや積載する荷量が制限される、という影響が出ました。迂回ルートを取る船も出ると、輸送コストが上昇し物流費への影響が生じました。

スーパーエルニーニョ発生時の日本の冬季、平年に比べ0.9℃程度高い暖冬傾向だが「ドカ雪」に見舞われることも

スーパーエルニーニョ現象発生時の日本の気象として、冬は暖冬になりますが、ドカ雪などが発生します。

 

東京の平年(1990~2020年平均)の冬季(12月から2月までの3ヵ月間)の平均気温は6.4℃だが、スーパーエルニーニョ現象発生時の冬季は7.2℃~7.5℃で暖冬になっています。

 

ただし、ドカ雪に見舞われることがあります。スーパーエルニーニョ現象発生時の1998年1月15日には、本格的な雪が降り、都心でも、交通機関が混乱した1月8日を上回る16センチの積雪を観測するなど各地でこの年の冬の最高の積雪となりました。国内の空の便は計476便が欠航し、7万2,000人に影響が出ました。JR東日本管内での運休は約2,400本となり、新幹線も含め影響を受けた人は約60万人を超えました。雪が原因とみられるスリップ事故も続出し、午後11時現在、関東甲信の9都県で1,400件以上の交通事故が起き、1人が死亡、約110人がけがをしました。

 

スーパーエルニーニョ現象発生時の2016年1月24日には、奄美大島で115年ぶりの降雪が観測されました。奄美大島で観測を実施している場所は、島の中心にあたる名瀬地域にある「名瀬測候所」です。全国的な記録的寒波の影響で、奄美地方も極端な冷え込みとなり、名瀬市街地で昼過ぎから雪が降りました。奄美群島最高峰の湯湾岳(694m)でも雪や雪あられが確認されました。こちらでは、明治時代の観測開始から現在に至るまで、過去2回(1901年・2016年)のみ「降雪」を観測した記録が残されています。

 

[図表4]スーパーエルニーニョ現象発生時の東京の12月~2月の3ヵ月平均気温

 

 

※なお、本投稿は情報提供を目的としており、金融取引などを提案するものではありません。

 

 

宅森 昭吉(景気探検家・エコノミスト)

三井銀行で東京支店勤務後エコノミスト業務。さくら証券発足時にチーフエコノミスト。さくら投信投資顧問、三井住友アセットマネジメント、三井住友DSアセットマネジメントでもチーフエコノミスト。23年4月からフリー。景気探検家として活動。現在、ESPフォーキャスト調査委員会委員等。

 

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