前回は、不動産の価値を下げる「マイナス要素」を解消する方法を説明しました。今回は、「CREマネジメント」に学ぶ個人所有不動産の管理術について見ていきます。

所有しているだけでは、土地の価値は減っていく時代に

企業経営において、いま「CRE マネジメント」の必要性が指摘されています。「CRE」とは、「Corporate Real Estate」の頭文字を並べたもの。直訳すれば、会社不動産です。工場・倉庫、営業拠点、本社ビル、研究所など、企業で所有している不動産を、経営資源の一つとして位置付け、その利用をきちんとマネジメントすることで、企業価値の最適化を図ろう、という趣旨です。

 

企業で所有している不動産の場合、工場なら生産部門、営業拠点なら営業部門というように、所管している部署が社内に分散しているため、そもそも情報が一元化されていないという問題もあります。CREマネジメントに乗り出そうとする企業はその一元化をまず図った上で、例えば本業ともいえるコア事業にとって不要な不動産は売却処分したりするなど、企業価値の最適化に向けた戦略を立てていくことになります。

 

ここまで述べてきた不動産の高値売却に向けた心構えは、個人向けの話題ではありますが、このCREマネジメントの精神に通じるものがあります。

 

マネジメントという行為はCREマネジメントに限らず、日常的な努力の積み重ねです。あるときにだけいくらやろうとしても、機能するはずもありません。マネジメントサイクルとしてよく、P(Plan)、D(Do)、C(Check)、A(Action)を繰り返すことが勧められるのは、その表れです。計画・実行し、結果を評価した上でそれを改善に結び付けていく、そしてそれを繰り返していくことが重要なのです。

 

個人の不動産もただ漫然と所有しているだけでは、その価値は次第に減っていくばかりです。土地神話がまだ生きていた時代は何もしないでも地価が上昇し、結果として所有する不動産の価格も押し上げられたということがありましたが、いまはもうそういう時代ではありません。

 

将来、売却しようとするときに、できるだけ高値で売却したいなら、その所有者として日常的にやるべきことをやっておく必要があります。

「メンテナンスの履歴」を保管しておくことの重要性

土地はきちんと測量し、実測に基づく測量図を用意しておく。建物を建設したなら、完了検査を受けて検査済証をきちんと受領しておく。その建物を第三者に賃貸する場合は定期借家の形態で建物賃貸借契約を結ぶようにする。そして当然のことながら、建物の順法性を損ねるような行為はしない。これらは全て、不動産のマイナス要素を解消する手段としてこれまで指摘してきた点です。

 

さらに、建物は時間の経過とともに劣化していきますから、定期的に、また必要に応じて、修繕工事や改修工事を実施するなどメンテナンスが欠かせません。そうしたメンテナンスの履歴をきちんと保管しておくことも重要です。それが分かれば、メンテナンスが将来どの程度必要になる可能性があるか、一定の見通しを立てられるからです。

 

建物を売買するとき、その建物には完成以降どの程度メンテナンスの手が加わってきたのか分からないと、将来のメンテナンス費用に対する見通しを立てられません。もしかすると、メンテナンスを怠っていたため見えない部分で劣化が進んでいて、その修繕に巨額の費用が掛かる恐れもあります。

 

将来の費用支出が読めないようではその不動産に投資するリスクは高まってしまいます。判断を誤ると、金食い虫のように修繕費用の掛かる不動産を購入することにもなりかねません。しかし、それまでの履歴から将来のメンテナンスに必要な費用に一定の見通しを立てることができれば、その問題は起こりません。仮に将来大きな費用支出が必要になる可能性があるにしても、あらかじめそれが分かっていれば、それを織り込んだ上で投資の適格性を判断すればいいだけの話です。

本連載は、2016年6月29日刊行の書籍『はじめてでも高く売れる 不動産売却40のキホン』から抜粋したものです。その後の税制改正等、最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。

はじめてでも高く売れる 不動産売却40のキホン

はじめてでも高く売れる 不動産売却40のキホン

宮﨑 泰彦

幻冬舎メディアコンサルティング

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