「援助する側の老後」を守ることも、家族のため
その後、恵子さんは、直樹さん夫婦が以前から家計相談をしていたFPのもとを訪れました。
相談の目的は、孫の教育費ではありません。今度は、恵子さん自身の老後についてです。筆者はまず、今後の年金収入と毎月の生活費、現在の180万円の預貯金、今後想定される大きな支出を整理しました。そして、孫への定期的な援助はいったん終了することに。
「最初は申し訳ない気持ちがありました。いままで出していたのに、急にやめていいのかなって」
しかし、援助は、自分の生活を壊してまで続けるものではありません。むしろ、親が老後資金を使い果たし、将来子ども世帯から生活費や介護費の援助を受けることになれば、結果として負担を次の世代へ戻してしまう可能性もあります。
恵子さんの場合、まず必要だったのは「いくら孫に残せるか」を考えることではなく、「自分はいくらあれば生活を続けられるのか」を確認することでした。
孫を思う気持ちと、お金を渡すことは、必ずしも同じではありません。また、お金を渡したからといって、その金額と引き換えに相手の人生や子育てに関与できるわけでもありません。
援助する側には援助する側の思いがあります。受け取る側には、受け取る側の認識があります。その二つは、言葉にしなければ意外なほど伝わりづらいものです。
恵子さんが10年間送り続けたお金には、確かに深い愛情が込められていました。しかし、これから恵子さんに必要なのは、愛情を証明するために自分のお金を減らし続けることではないでしょう。
自分自身の生活を守りながら、息子家族とのちょうどいい距離をもう一度つくっていくこと。それが、70歳になった恵子さんの新しい家計管理のスタートになりました。
波多 勇気
波多FP事務所 代表
ファイナンシャルプランナー
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