「今年で終わりにしてもいい?」母の決断…43歳娘の返答
総務省『家計調査報告〔家計収支編〕2025年平均結果』によると、65歳以上の単身無職世帯の実収入は月平均13万1,456円、可処分所得は11万8,465円、消費支出は14万8,445円でした。平均では消費支出が可処分所得を約3万円上回っています。
恵子さんの年金は月約17万円と、この平均より多いものの、固定資産税や住宅設備の修繕など、毎月均等には発生しない支出もあります。
「1,600万円あるんだから、3万円くらい出せると思っていました。でも、これから自分にいくら必要になるのかは分からないでしょう」
それでも、すぐには送金をやめられませんでした。
真由さんから催促されたことは一度もありません。それだけに、「今月からやめる」と自分から切り出すことに抵抗があったのです。
そんなとき、真由さん一家が新しい車を購入したと聞きました。
家計に余裕があるかどうかは、車を買ったという事実だけでは分かりません。ただ、恵子さんはそこで初めて、「今も自分が毎月補わなければならないのだろうか」と考えました。
「娘も、もう43歳です。子どもが小さかったころとは状況が違う。それなのに、私は10年前と同じことをずっと続けていたんです」
恵子さんは真由さんに電話をしました。
「毎月送っている3万円なんだけど、今年で終わりにしてもいい?」
少し緊張しながら伝えると、返ってきたのは予想外にあっさりした言葉でした。
「もちろん。むしろ、今までありがとう。私もいつまで受け取っていいのかなと思ってた」
恵子さんは拍子抜けしたといいます。娘にとっても、母から毎月振り込まれる3万円がいつの間にか習慣になり、自分から「もういらない」と切り出す機会を逃していたのでした。
送金をやめてから半年。浮いた3万円をすべて使うようになったわけではありません。
月1万円ほどは、将来の住宅修繕や医療費に備えて別の口座へ。残りも毎月使い切るのではなく、友人との食事や日帰り旅行などに使うことがあります。
「3万円増えたから何かぜいたくを始めた、という感じではないんです。ただ、何か買うたびに『我慢しよう』と考えなくなりました。それが一番大きいですね」
内閣府の同調査では、今後優先的にお金を使いたいものとして、「自分や配偶者あるいはパートナーの医療・介護の費用」が47.5%、「趣味やレジャー(旅行等)の費用」が32.4%となっています。高齢期のお金には、家族への支援だけでなく、自分自身の今後の生活に備える役割もあります。
子どもへの援助を続けるかどうかに、一律の答えはありません。親に十分な余裕があり、双方が納得して続けている家庭もあるでしょう。
一方、一度始めた援助が長期間続いている場合には、始めた当時と現在で、親子双方の家計や生活環境が変わっている可能性があります。「今まで続けてきたから」とそのままにせず、金額や期間をときどき見直すことも、自分の生活を守りながら家族を支える方法の一つでしょう。
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